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企画展(終了)
フランティシェク・クプカ(1871−1957)は、カンディンスキーやマレーヴィッチらとともに抽象絵画の開拓者として知られています。しかし彼が抽象への道を決然と踏み出したのは、やっと40歳を迎えようとした頃でした。 幼い頃最愛の母を亡くし、降霊術を身につけていたクプカにとって、現実を超えた世界は常に身近でした。またナザレ派の伝統を色濃く残すプラハやウィーンで彼はその形成期を過ごしており、寓意や象徴を用いて描いた前半生の作品は多くの神秘的な雰囲気をたたえています。 その後もクプカは、神智学や錬金術、あるいは哲学や自然科学に至るまで熱心に研究しました。それは人間の存在や宇宙の本質を直覚するための必死の努力だったのです。こうして捉えた「もうひとつの現実」をクプカは抽象絵画の中で展開してゆきました。 本展は、「宇宙の法則」を探求したこのチェコ人画家の全貌を、約130点の作品で回顧するものです。
刊行物
目次「普遍性に向かう「もうひとつの現実」」ルドミラ・ヴァフトヴァー「素描家としてのクプカ」ヤナ・ブラブツォヴァー「フランティシェク・クプカ、色彩の道」アレナ・ポマイズロヴァー「パリ国立近代美術館(ポンピドゥー・センター)のクプカ作品」ジェルマン・ヴィアットカタログ「見えないものに終始する」ヴラスタ・チハーコヴァー「クプカと東洋」古田浩俊「《垂直の面と》と《夢》」村上博哉「年譜」編:メダ・ムラデク「展覧会歴」編:古田浩俊「邦語文献目録」編:古田浩俊奥付編集:愛知県美術館(村上博哉、古田浩俊)翻訳:ヴラスタ・チハーコヴァー、マーサ・マクリントク、モーリーン・オバーリ=ターナー、ヴラディミーラ・ジャーコヴァー制作:美術出版デザインセンター(杉浦博)デザイン:桑畑吉伸発行:愛知県美術館、東京新聞 ©1994