(13件)
企画展(終了)
花森安治(はなもり・やすじ、1911-1978)は、終戦まもない1946年3月に、大橋鎭子(おおはし・しずこ)を社長とする衣裳研究所を銀座に設立、新進の服飾評論家としてデビューしました。〈直線裁ち〉という誰もが簡単に作れる洋服を提案した『スタイル・ブック』は評判を呼びますが、かねてより計画していた生活家庭雑誌『美しい暮しの手帖』(のちの『暮しの手帖』)を1948年9月に創刊し、その後、社名も暮しの手帖社へと変更します。〈衣・食・住〉を基本にすえつつ、もののない時代には〈工夫とアイデア〉による豊かな暮しを提案、電化製品が普及した高度成長期には〈日用品の商品テスト〉を実施、そして食品添加物や公害問題が叫ばれた70年代には〈社会の矛盾を鋭くえぐる批評〉を誌面で展開し、ペンで権力に挑みました。30年間にわたり一切広告を入れず発行100万部に迫るまでに成長させた雑誌『暮しの手帖』を舞台に、表紙画からカット、レイアウト、新聞広告、中吊り広告まで、取材や執筆はもとより、制作から宣伝まで、すべてを手がけたのが編集長・花森安治だったのです。本展では、花森の作品そのものともいえる『暮しの手帖』が庶民に向けて発したメッセージに、改めて耳を傾けます。戦時中の大政翼賛会での仕事にも着目しつつ、花森が全身全霊をかけて打ち込んだ出版活動を、ひとつの雑誌を超えた「運動」として捉え、多彩な仕事のなかからその思想を探ってゆきます。戦後日本の出版文化に計り知れない影響を与えた『暮しの手帖』は、花森が他界したのちも刊行されつづけており、現在、通巻485号を数えています。21世紀を生きる私たちが今、日々の暮しに視座を据えた花森の提言に改めて心を打たれるのは、時代に左右されることのない変わらぬ想いが伝わってくるからでしょう。本展では、暮しの手帖社の全面的な協力のもと、花森安治が遺した多数の稀少資料・約750点を展覧します。
ミュージアム コレクション(終了)
本展では、近年収蔵した大貫卓也(1958-)と花森安治(1911-1978)が手掛けたポスターやグラフィック関連資料を中心にご紹介します。大貫卓也は、広告業界のトップランナーとして活躍する世田谷在住のアートディレクター。広告の常識をくつがえす「としまえん」の仕事で若くして注目され、その後の広告のあり方を変えました。花森安治は、これまでにも雑誌『暮しの手帖』の表紙画やカット画をテーマに紹介してきましたが、同誌の交通広告や新聞広告などについては今回が初めてとなります。一見異なるようで共通するふたりのコミュニケーションの考え方、広告表現からその魅力を探ります。
ミュージアム コレクション(終了)
終戦後まもなく、それまで抑圧されていた言論が活気を取り戻しつつあった頃、雑誌の創刊や復刊も相次ぎ1946年に岩波書店より雑誌『世界』が、1948年には暮しの手帖社より雑誌『暮しの手帖』(当初は「衣裳研究所」より『美しい暮しの手帖』として)が創刊されました。 『世界』は、岩波書店の創業者である岩波茂雄(1881-1946)の意志のもと、『君たちはどう生きるか』(1937年、初版は新潮社)の著者でもある吉野源三郎(1899-1981)を編集長に創刊された総合誌です。戦後日本の変化の激しい時代に、一貫して、日本の講和や安全保障、日韓問題、沖縄などの平和に関する問題を扱ってきました。また、志賀直哉「灰色の月」、安部公房「第四間氷期」をはじめ、文壇での主要な文芸作品が扱われたり、大江健三郎、中村雄二郎、山口昌男を中心に編纂された論集『叢書 文化の現在』(全13巻、1980-1982年、岩波書店)へつながる議論が展開されるなど、文化的に重要な記事が多数掲載されてきた雑誌でもあります。 いっぽう『暮しの手帖』は、気鋭の服飾評論家であった花森安治(1911-1978)が大橋鎭子(1920-2013)と共に創刊した生活総合誌です。戦争の影響で物資の少なかった当時、生活に役立つアイデアを発信する雑誌としてはじまり、人々の暮らしが大量生産・大量消費型へ変化してからも、商品を実際に使用しデータを掲載した企画「日用品のテスト報告」などの良質な情報を提供し続けました。花森は自ら、原稿の執筆、取材や撮影、誌面レイアウト、表紙画、宣伝広告のデザインまですべての制作過程に携わりました。ともに日本の出版文化に大きな影響を持ち、今日まで続く雑誌です。 近年、世田谷美術館では、岩波書店より『世界』カット原画、暮しの手帖社と土井藍生氏より『暮しの手帖』カット原画の寄贈をいただきました。『世界』では、中川一政や加山又造、駒井哲郎、飯田善國、宇佐美圭司、加納光於など、洋画、日本画、版画、彫刻、現代美術と、日本の近現代美術を牽引してきた多様な作家が起用され、それぞれに個性あるカットを寄せています。『暮しの手帖』では、創刊号よりほとんどすべてのカットを花森が手掛け、バラエティ豊かな画風で誌面を彩りました。 本展では、これらの収蔵品より、『世界』と『暮しの手帖』、ふたつの雑誌のカット原画をご紹介します。おなじ時代を異なるかたちで歩んだ二誌の展開、そしてカットという表現にたしかにうかがえる、それぞれの描き手の魅力をご覧ください。[コーナー展示] 魯山人の支援者――塩田岩治(しおだいわじ)と南莞爾(みなみかんじ)小コーナーでは「魯山人の支援者――塩田岩治と南莞爾」として、書、料理、陶芸など多彩な分野で才能を発揮した北大路魯山人(1883―1959)の作品を展示します。当館が開館当初から収蔵している株式会社利根ボーリング(現・東亜利根ボーリング株式会社)の創業者・塩田岩治のコレクション(塩田コレクション)から、魯山人と塩田の交友関係を伺い知れる作品を紹介します。また、新たに加わった東京火災保険株式会社(現・損害保険ジャパン株式会社)の社長だった南莞爾氏ゆかりの魯山人作品2点を初公開いたします。
ミュージアム コレクション(終了)
第1部 花森安治と『暮しの手帖』第2部 コーナー展示 アンドレ・ボーシャンの庭「暮しの手帖」編集長にして、ジャーナリスト、装釘家、デザイナーといった多彩な顔を持つ花森安治(1911-1978)。本展は『暮しの手帖』表紙原画を中心に、雑誌宣伝のために制作した「中吊広告」などを加え、花森の個性的なデザインの仕事をご紹介します。また、素朴派のアンドレ・ボーシャン(1873-1958)もあわせて展示します。主な出品内容・『暮しの手帖』表紙原画 全103点 ※詳細は[展示作品一覧]をご覧ください・商品テスト 関連写真 32点 資料提供:暮しの手帖社・中吊広告(静止画によるスライドショー/4分40秒) 資料提供:暮しの手帖社・暮しの手帖社撮影 8mmフィルム(映像/21分40秒) 資料提供:暮しの手帖社
イベント(終了)
編集長・花森のもとで働いた18年間について、エピソードをまじえてお話しいただきます。
イベント(終了)
父と過ごした日々を娘の視点からお話しいただきます。
イベント(終了)
企画展毎に、様々な趣向を凝らした内容で、子どもから大人までその場で楽しめる簡単な工作などを行う100円ワークショップ。この度は、花森さんが伝え続けた、手づくりのよろこび。一緒に味わってみませんか?●その1「わたしの表紙画で小さな“暮しの手帖”をつくろう」●その2「ハギレでつくる昭和レトロなコサージュ」※3月25日(土)は会場が当館くぬぎ広場となります。また「わたしの表紙画で小さな“暮しの手帖”を作ろう」はお休みとさせていただきます。
イベント(終了)
雑誌『考える人』(新潮社)に「花森安治伝」を連載中の津野海太郎氏をお招きし、元編集者の視点から傑出した編集者・花森の編集術についてお話しいただきます。
刊行物
目次「あいさつにかえて」酒井忠康「父・花森安治」土井藍生「花森安治の『暮しの手帖』」小榑雅章図版編 解説:矢野進第I章 学生時代の花森安治第1節 旧制松江高等学校時代第2節 東京帝国大学時代第II章 戦時下の花森安治第1節 報道技術研究会と大政翼賛会宣伝部第2節 戦時下の出版活動第3節 手帖と書簡第III章 暮しの手帖社の花森安治第1節 『暮しの手帖』前史―敗戦直後に第2節 『暮しの手帖』第1期―暮しに工夫を第3節 『暮しの手帖』第2期―商品テスト/日本人の暮し第4節 『暮しの手帖』第3期―社会の矛盾へ第5節 暮しの手帖社の書籍―花森安治の装幀第IV章 花森安治の装幀―他社の仕事第1節 花森安治の著書第2節 他者の著書第3節 雑誌表紙『週刊朝日』第4節 花森安治の広告デザイン第V章 《一戔五厘の旗》を掲げて〔異体字:戔=浅のサンズイがない〕第1節 「戦争中の暮しの記録」第2節 「見よぼくら一戔五厘の旗」第3節 最晩年の花森安治第VI章 「花森安治のあいうえお・もの図鑑」―商品テストのストーブから愛用のランプまで資料編I再録 花森安治の文章―編集者としての思索の一端を読む(編集者の手帖)この十五年という年と月と日々と/(編集者の手帖)暮しの手帖の三つの幸せについて/一本のペン―剣より強さ示そう/スカートえの不思議な郷愁―或いはオイコツト市民の羨むべき風俗について/作りばなし たのしきナンキンマメ/戦場/見よぼくら一戔五厘の旗/もう、時間はいくらも残っていないコラム 花森安治の人物交流―『暮しの手帖』創刊前の邂逅より「田所太郎(編集者)」杉山悦子「佐野繁次郎(洋画家)」盛本直美「山名文夫(デザイナー)」大長悠子「中原淳一(イラストレーター)」竹内唯「戸板康二(演劇評論家)」矢野進「藤城清治(影絵作家)」竹内唯「松本政利(写真家)」矢野進「大橋鎭子(編集者)」矢野進論稿「報道技術研究会と花森安治」寺本美奈子「花森安治の仕事 日本の暮しを変えた稀代のマルチアーティスト」矢野進資料編II「花森安治年譜」編:杉山悦子写真アルバム花森安治の個人史/暮しの手帖社と花森安治/暮しの手帖研究室 商品テストの現場「『暮らしの手帖』花森安治 記名著述一覧」編:杉山悦子「花森安治文献目録」編:塚田美紀出品資料目録奥付構成:世田谷美術館編集:矢野進、杉山悦子、塚田美紀、橋本善八(世田谷美術館)/大長悠子(碧南市藤井達吉現代美術館)/竹内唯(高岡市美術館)/盛本直美(岩手県立美術館)/岡本智恵子(美術館連絡協議会)編集協力:株式会社暮しの手帖社編集補助:新宮和聖執筆:土井藍生、小榑雅章、寺本美奈子、酒井忠康、矢野進、杉山悦子、塚田美紀、大長悠子、竹内唯、盛本直美翻訳:Kei Benger校閲:岩田高明表紙デザイン:重実生哉デザイン:川野直樹、中村遼一(美術出版社デザインセンター)制作:名塚雅絵、遊馬奈歩(美術出版社デザインセンター)、今村裕(ウトラ舎)印刷:大日本印刷株式会社発行:読売新聞社、美術館連絡協議会 ©2017*
刊行物
編集・発行:世田谷美術館
ブログ
ゲスト:小榑雅章(『暮しの手帖』元編集部員)聞き手:矢野進(本展担当・当館学芸員)、門あすか(当館学芸員)開催中の企画展「花森安治の仕事 ― デザインする手、編集長の眼」に関連し、『暮しの手帖』元編集部員の小榑雅章(こぐれ・まさあき)氏に、本展の見どころや当時のお話をうかがいました。前編と後編に分けてお届けいたします。ごゆっくりお楽しみください。【前編】 本展の見どころと、花森安治の『暮しの手帖』について デモとペンの闘い方の違いについて【後編】 展示室の花森安治氏の音声――取材の姿勢について 初めての原稿「ドライバー」の買い物案内について 名店の料理人によるレシピについて企画展「花森安治の仕事 ― デザインする手、編集長の眼」は、2017年4月9日(日)まで、開催しています。ぜひ、お越しください。この機会に是非ご覧ください。※セタビPodcastingについて
ブログ
昨年放送されたドラマ「とと姉ちゃん」の影響もあって、「花森安治の仕事―デザインする手、編集長の眼」展は、毎日多くのお客様にご来場いただいています。当館の併設レストラン「ル・ジャルダン」では、会期中、花森の装幀により暮しの手帖社から出版されたお料理のレシピ集『一皿の料理』と現在も販売中の『おそうざい風外国料理』に掲載されているレシピをアレンジした特別メニューのコースを企画しています。昭和の食卓に豊かさを提案したお料理は、現在も魅力的です。『一皿の料理』のシャリアピン・ステーキは、すりおろした玉ねぎに漬け込むことで、柔らかくなった牛の赤味を堪能できる一皿です。仕上げのマデラ酒をプロの技で利かせるのが、レストランならではかもしれません。メーンのステーキはそのままで、スープとオードブルを少し替えて、3月11日までの第1弾(上の画像)と3月12日からの第2弾(下の画像)で、1日限定20食をご用意。パンとコーヒー(または紅茶)に、春らしいピンクが鮮やかな、口いっぱいにイチゴの香りがふわっと広がるムースのデザートつきです。(税込3400円)一皿によって、日々の暮しが楽しくなる『暮しの手帖』のお料理。展示されている作品とともにゆっくりと味わってみてはいかがでしょう。その後…特別メニューの第2弾が始まりましたので、追記してお知らせいたします。オードブルとスープがさらに春を感じるメニューに変わりました。桜の開花までもう少し。お料理から春の予感をお楽しみください。
新着情報
世田谷美術館では、敬老の日となる令和6年9月16日(月・祝)、60歳以上の方(今年度中に60歳になる方を含む)のミュージアム コレクション観覧料を無料といたします。世田谷美術館分館(向井潤吉アトリエ館、清川泰次記念ギャラリー、宮本三郎記念美術館)では展示替え期間にあたるため休館中です。※受付にて年齢を確認できるもの(運転免許証や保険証など)のご提示をお願いいたします。※ご観覧に付き添いが必要な方は、受付にお申し出ください。付添者1名まで無料といたします。