(2件)
企画展(終了)
今世紀の初め、パリの画壇に、みずからの楽しみのために独学で創作した日曜画家、アンリ・ルソーが登場しました。素朴な心情を表現した彼の作品は大きな注目を集め、続いて、ボーシャン、ボンボワなど、いわゆる「素朴派の画家たち」が現れてきました。彼らの作品は、自己流の描きかたながら、色彩の扱いが繊細で美しく、心の真実を率直に訴えており、その評価を高めていきました。これらの作品の素朴な味わいは、原始美術や民族美術、子どもの美術等にも通じるものがあります。また、ピカソ、ゴーギャンらの近代・現代の巨匠たちの作品にも、‶素朴‴を意識して作られた、優れたものがあります。これらは、いわば「芸術における初心の大事さ」を物語っているといえましょう。この展覧会は、このような「芸術における初心」を、古今東西にわたって、広く研究してみようとするものです。
刊行物
目次はじめにI 「アメリカン・ナイーブ」桑原住雄II 「思想としての素朴」若桑みどりIII 「プリミティブ・アートとは何か」川田順造IV 「プリミティブ・アートにみられる人間像」徳田良仁V シンポジウム「芸術における素朴性」パネリスト:上原和、芳賀徹、李禹煥司会:大島清次奥付発行:世田谷美術館、1987年8月31日