─時代を超えて個を貫いた親子三代の物語
愛娘をモデルとした〈麗子像〉の連作で広く世に知られている画家・岸田劉生は、独自の美を求めて葛藤を重ねた大正洋画壇の巨星でした。その劉生には、傑物ともいうべき父がいました。その名は吟香。激動の幕末・維新期に、洋の東西を遠く見すえた開明派の文化人として、各方面で活躍しました。また、劉生が38歳で早世したのち、長女・麗子は演劇人・画家としての生涯を生き、最晩年には詳細にわたる父・劉生の評伝を書き上げました。
本展では、吟香にまつわる稀少資料や、吟香と交流のあった同時代人の作品に加え、劉生の代表作〈麗子像〉やそのモデルとなった麗子の遺作などを一堂に集めて、それぞれの個を貫きとおしたこの稀有なる親子三代の物語をたどります。独りわが道をゆくことを恐れなかった生き方は、明治・大正・昭和を通して、吟香・劉生・麗子に等しく見られる資質です。本展の目的は、時代を超えたこの知られざる精神の系譜を、日本近代史に照らして探るところにあります。
本展では、吟香にまつわる稀少資料や、吟香と交流のあった同時代人の作品に加え、劉生の代表作〈麗子像〉やそのモデルとなった麗子の遺作などを一堂に集めて、それぞれの個を貫きとおしたこの稀有なる親子三代の物語をたどります。独りわが道をゆくことを恐れなかった生き方は、明治・大正・昭和を通して、吟香・劉生・麗子に等しく見られる資質です。本展の目的は、時代を超えたこの知られざる精神の系譜を、日本近代史に照らして探るところにあります。