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企画展(終了)
白洲正子の物語も小林秀雄の骨董もこの男から始まった 希代の目利きで、いわゆる「骨董」世界の完成者である青山二郎(1901〜1979)。東京の裕福な家庭に生まれた青山二郎は十代半ばから天才的な審美眼を発揮し、20代には柳宗悦の初期の民藝運動を支え、日本民藝美術館の設立趣意書に浜田庄司、河井寛次郎らとともに名を連ねました。 また青山二郎は26歳の時に、建築家で横河グループの創業者・横河民輔(よこがわたみすけ)氏の中国陶磁の膨大なコレクション図録『甌香譜』(おうこうふ)の作成を名指しで委託されました。5年の歳月をかけ完成させたこの豪華な図録により、青山二郎は古陶磁の世界で揺ぎない評価を得ました。 本展は現在東京国立博物館の中国陶磁の中核となっている横河コレクションの中から、青山が『甌香譜』に掲載した中国陶磁の優品や青山が見出した朝鮮や日本の古陶磁の名品、青山ゆかりの人々へと渡っていった旧蔵品などを通して、美の探究者・青山二郎の足跡を辿るものです。 青山と同時代に活躍し交流のあった洋画家の梅原龍三郎、陶芸家の浜田庄司、北大路魯山人、加藤唐九郎らの作品を一堂に集め、青山との関わりや同時代の作家に対する「青山二郎の眼」についても検証します。 青山二郎のもとには昭和を代表する文学者が日夜集い、文学論や骨董談義に花を咲かせました。小説家の大岡昇平が後に「青山学院」と名付けたこの昭和の文学サロンには文芸評論家の小林秀雄、河上徹太郎、小説家の永井龍雄、詩人の中原中也、随筆家の白洲正子らがいました。青山二郎は高等遊民と呼ばれ、生涯職業に就くことはなかったのですが、「青山学院」の生徒らが出版した書籍などのデザインをし、唯一装幀家として名を馳せていました。夭折した詩人の中原中也の没後に出版された『在りし日の歌』などは青山の代表作です。 本展は4章立ての構成で、第1章 鑑賞陶器―中国古陶磁、第2章 朝鮮考―李朝、朝鮮工芸、第3章 日本の骨董、第4章 装幀家 青山二郎とその交流として、青山二郎の美の全体像に初めて迫ろうとするものです。
イベント(終了)
青山二郎の文章について評論もある詩人の高橋睦郎氏、以前出版社の社長として青山二郎文集を編集したことのある長谷川郁夫氏、鎌倉文士について詳しい当館の館長酒井忠康が青山二郎の魅力に迫ります。
イベント(終了)
古美術評論家の青柳恵介氏に骨董世界の完成者・青山二郎について語っていただきます。
イベント(終了)
美術や工芸などの日本文化を多方面からプロデュースし、父方の祖母の白洲正子氏や、母方の祖父の小林秀雄氏についての著書などでも知られる白洲信哉氏に、青山二郎をめぐる人々についてのお話をしていただきます。
刊行物
目次〔青山二郎の眼〕図版編第一章 鑑賞陶器「先づ支那に入門するべし」中国古陶磁第二章 朝鮮考「朝鮮物第一流のものは焼物、百万中に一つなり」李朝、朝鮮工芸第三章 骨董「人が覗たれば蛙に化れ」日本の骨董第四章 装幀家 青山二郎とその交流奥付〔青山二郎の眼〕発行:2006年9月1日編集:株式会社ジパング、株式会社新潮社翻訳:リングァ・ギルド本文デザイン:大野リサ+川島弘世装幀:新潮社装幀室発行者:株式会社新潮社印刷所:錦明印刷株式会社製本所:大口製本印刷株式会社製函所:株式会社岡山紙器所©Shinchosha 2006本文の引用は『青山二郎全文集』上・下(ちくま学芸文庫)、『いまなぜ青山二郎なのか』白洲正子(新潮文庫)によります。目次〔青山二郎の眼 解説〕解説編「総論」青柳恵介(古美術評論家)「青山二郎と鑑賞陶器の時代」川島公之(繭山龍泉堂)「「呉州赤絵大皿」受容と賞翫」長谷川祥子(静嘉堂文庫美術館学芸員)「柳と青山―李朝と民芸運動」尾久彰三(日本民藝館主任学芸員)「―眼は言葉である―青山二郎 魂の純度」金子直樹(MIHO MUSEUM学芸員)「青山二郎と魯山人」清水真砂(世田谷美術館学芸員)「余技の真骨頂―青山二郎の装幀」蝦名則(古書店主)年譜出品リスト引用文英訳解説文英訳奥付〔青山二郎の眼 解説〕発行:2006年9月1日編集:株式会社ジパング、株式会社新潮社翻訳:リングァ・ギルド本文デザイン:大野リサ+川島弘世装幀:新潮社装幀室発行者:株式会社新潮社印刷所:錦明印刷株式会社製本所:大口製本印刷株式会社製函所:株式会社岡山紙器所©Shinchosha 2006本文の引用は『青山二郎全文集』上・下(ちくま学芸文庫)、『いまなぜ青山二郎なのか』白洲正子(新潮文庫)によります。
ブログ
「白洲信哉の眼」ゲスト:白洲信哉氏ナビゲータ:石崎尚(当館学芸員)今回のゲストは「青山二郎の眼」展の企画者、白洲信哉さんです。青山二郎と交流のあった小林秀雄と白洲正子を、それぞれ祖父・祖母にもつ白州さん。展覧会準備中のエピソードや骨董との関わり方についておききしました。※セタビPodcastingについて