-開催概要から-
正規の美術教育を受けていない人々、とりわけ精神を病んだ人々や霊的能力に優れた幻視者たちの造形作品は、美術界のあらゆる制度の外側で生み出されたものです。それは魂の奥底から発せられた切実な叫びであるがゆえに、観る人の心を揺さぶります。これら「アウトサイダー」の美術は、クレー、ダリ、エルンスト、デュビュッフェ、ペンク、バゼリッツ、ボルタンスキーなど、20世紀美術の巨匠たちにも大きな刺激を与え、今日の美術の重要な底流を成しています。本展はこの「アウトサイダー」の美術と20世紀美術を並べ、両者のパラレルな関係を比較考察しようとする、世界でも初の試みです。本展は昨秋、ロサンゼルス・カウンティ・ミュージアムでオープンしましたが、マドリッド、バーゼルと巡回した後、世田谷美術館で開催されます。「アウトサイダー」の美術125点、20世紀美術75点に加え、日本のアウトサイダーの作品10数点も展示され、人間にとって芸術とは何かを根源から問うことになります。
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〔論文:「異界の人―日本のアウトサイダー・アート」塩田純一〕
〔図版:古賀春江、渡辺金蔵、山下清、草間彌生、坂上チユキ、小笹逸男、福村惣太夫、吉川敏明〕
奥付
編集:塩田純一、長谷川祐子、遠藤望
制作:美術出版デザインセンター
発行:世田谷美術館©1993
〔パラレル・ヴィジョン―20世紀美術とアウトサイダー・アート展にあわせて刊行〕