[カタログ/1992年発行]
-開催概要から-
「ひまわり」や「鳥の群れ飛ぶ麦畑」などで馴染み深い、フィンセント・ファン・ゴッホ(1853―1890)は、輝くような色彩と情熱的な筆致による生命感溢れる作品で、我々の心を強く捉えてきました。美術史上では、モネなどの印象派の後に続く、ゴーガンやセザンヌといった、一般に後期印象派とよばれる画家たちの1人として重要な位置を占めています。
ゴッホは、牧師の子としてオランダに生まれ、美術商会や書店の店員、宗教活動等の紆余曲折を経た後、27歳で画家を志し、弟テオに支えられながら、37年という短い生涯を駆け抜けるように生き、2100点余の作品を制作しました。ゴッホの芸術には、ミレーやドラクロワ、モンティセリなどの影響や、パリでの印象派との接触などさまざまな要素が含まれていますが、開国後間もなかった日本の文化や美術が与えた影響も実に大きなものがありました。19世紀後半は、フランスを中心に、西欧において日本への関心が著しく高まった時期でしたが、その様なパリでゴッホは、日本の文化や美術から多くのものを独特の形で摂取し、自らの作品の中に開花させたのでした。
本展はこのゴッホと日本の関係に焦点を当て、異なる文化の出会いの妙やゴッホ芸術の魅力をお楽しみいただこうというものです。
ゴッホは、牧師の子としてオランダに生まれ、美術商会や書店の店員、宗教活動等の紆余曲折を経た後、27歳で画家を志し、弟テオに支えられながら、37年という短い生涯を駆け抜けるように生き、2100点余の作品を制作しました。ゴッホの芸術には、ミレーやドラクロワ、モンティセリなどの影響や、パリでの印象派との接触などさまざまな要素が含まれていますが、開国後間もなかった日本の文化や美術が与えた影響も実に大きなものがありました。19世紀後半は、フランスを中心に、西欧において日本への関心が著しく高まった時期でしたが、その様なパリでゴッホは、日本の文化や美術から多くのものを独特の形で摂取し、自らの作品の中に開花させたのでした。
本展はこのゴッホと日本の関係に焦点を当て、異なる文化の出会いの妙やゴッホ芸術の魅力をお楽しみいただこうというものです。
目次
「序」ロナルド・デ・レーウ
「19世紀後半、フランスにおけるジャポニスムの一般的状況」大島清次
「ファン・ゴッホのジャポニスムー日本美術の影響とユートピアとしての「日本」」圀府寺司
「日本の画家たちのファン・ゴッホ論」木下長宏
「図版/作品解説」マレイケ・デ・フロート
I. ゴッホの油彩画とデッサン
II. ゴッホの同時代作家の作品とゴッホの遺品
「ゴッホの油彩画・デッサンと日本美術―ゴッホが日本美術に見たもの」永井隆則
図版
III. ゴッホ兄弟の収集した浮世絵
「ゴッホと浮世絵コレクション」清水真砂
ゴッホ略年譜―ゴッホとその時代
ゴッホのことば―ゴッホにとっての日本
現代日本人作家によるゴッホ論
参考文献表―日本におけるファン・ゴッホ主要文献
出品作品索引
奥付
執筆:
ロナルド・デ・レーウ(フィンセント・ファン・ゴッホ美術館館長)
大島清次(世田谷美術館館長)
圀府寺司(広島大学助教授)
木下長宏(京都芸術短期大学教授)
マレイケ・デ・フロート(美術史家)
永井隆則(京都国立近代美術館研究員)
清水真砂(世田谷美術館学芸員)
翻訳:
スタンレイ・N. アンダーソン
二瓶優子
ロッテ・ローレンス
井上明彦(岡山大学助教授)
編集:
内山武夫、永井隆則(京都国立近代美術館)
宝木範義、清水真砂(世田谷美術館)
デザイン:大向務、小松慎(株式会社アノン)
印刷:日本写真印刷株式会社
発行:テレビ朝日
著作権者:京都国立近代美術館、世田谷美術館、テレビ朝日
©1992