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セタビブログ

2024.05.22

「Performance Residence in Museum 2023-24」ダイジェストリポート

上演に向けての準備。右から藤原佳奈、坂口彩夏。(2024年1月28日)撮影:加藤 甫

上演に向けての準備。右から藤原佳奈、坂口彩夏。(2024年…

2023年12月から2024年2月まで行われた「Performance Residence in Museum 2023-24」。世田谷美術館とNPO法人アートネットワーク・ジャパンによる、身体表現やパフォーマンス表現を行う若手アーティストを対象としたアーティスト・イン・レジデンス(AIR)プログラムです。2回目の開催となった2023年度は、演劇家の藤原佳奈さんが15日間に渡り世田谷美術館に滞在しました。
滞在中の様子は、本プログラムの特設サイト(note)にて、「滞在日誌」として公開中です。本プログラムのコーディネーターをつとめた武田侑子(NPO法人アートネットワーク・ジャパン)が写真とともに詳細にリポートしていますので、ぜひご覧ください。

今回のブログでは、滞在初日から最終日までをダイジェストでご紹介します。

藤原さんは滞在するにあたって「世田谷美術館を戯曲だと捉え、それをいま、上演するとしたら?」というテーマをかかげました。滞在期間は前半(2023年12月)と後半(2024年1月〜2月)に分けられます。前半では主に、世田谷美術館の建築や活動のリサーチに取り組みました。

最初の2日間(2023年12月20-21日)は、世田谷区立の小学校4年生を対象とした「美術鑑賞教室」の見学や、当館関係者へのインタビューを実施。また、当館ボランティア(鑑賞リーダー)に藤原さんの活動をご紹介する会を設けました。
滞在日誌 2023年12月20日-21日

続けて滞在3-5日目(2023年12月22-24日)には、オープンデーを実施。オープンデーに参加してくださったみなさんと一緒に滞在テーマについて考えを深めるべく、「世田谷美術館にわたしの〈存在〉を展示する」ことを試みるワークショップを行いました。
滞在日誌 2023年12月22日-24日(3-5日目)

オープンデーの様子(2023年12月24日)


また、当館公式YouTube「世田美チャンネル」に公開するインタビュー動画も収録しました。前半の滞在を終えた時点での感想や、創作活動に対する考えなどを藤原さんにおうかがいしています。
【世田美チャンネル】vol.36 「Performance Residence in Museum 2023-24:藤原佳奈インタビュー」

約1ヶ月の発酵期間ともいえるような時間を経て、1月末より後半の滞在が始まりました。滞在前半のリサーチと藤原さんがかねてより関心を抱いていた事柄が交差していき、上演の構想が立ち上がりました。滞在6-7日目(2024年1月26-27日)は、上演に向けて俳優の坂口彩夏さんも加わり、協働作業が始まりました。
滞在日誌 2024年1月26日-27日(6-7日目)

滞在8-11日目(1月28-30日)。上演に向けて試行錯誤が続きます。人形を使った上演を目指すにあたり、人形遣い・人形美術・人形劇作演出家の長井望美さんにもアドバイスをいただきました。また、滞在当初から続けていたリサーチをさらに深めるために、当館の建築デザインを手がけた内井昭蔵がゆかりのあるニコライ堂(神田)や、当館の分館である向井潤吉アトリエ館をたずねました。
滞在日誌 2024年1月28日-31日(8-11日目)

滞在12-14日目(2月1-3日)は、上演の準備がラストスパートに突入。リハーサルを重ねていきました。ときに気分転換として、庭園エリアに出て青空稽古をしたことが良い作用にもなったようです。
滞在日誌 2024年2月1日-3日(12-14日目)

いよいよ滞在最終日の15日目(2月4日)。滞在中に取り組んだ内容を、上演と報告会の形式で発表していただきました。報告会にはプログラムを企画したNPO法人アートネットワーク・ジャパンの米原晶子、当館学芸員の吉田絵美も登壇し、今回の滞在を振り返りました。
滞在日誌 2024年2月4日(15日目)

上演中の坂口彩夏。(2024年2月4日)撮影:加藤 甫


滞在報告会の様子。右から米原晶子、藤原佳奈、吉田絵美…


滞在期間終了後、改めて本プログラムを振り返ったコメントも特設サイトに公開しています。
各コメントはこちら

近年、上演芸術の本質にとことん向き合う活動に取り組んでいた藤原さん。その過程で「世田谷美術館を戯曲だと捉え、それをいま、上演するとしたら?」というテーマで活動したことは、藤原さんのアーティストとしての活動の新たな道標となったかもしれません。世田谷美術館にとっても、内井昭蔵の当館建築に込めた想いや当館の歩みをすすめてきた関係者の考えを振り返る機会となり、美術館をあらゆる角度から見つめなおす意義深い時間となりました。

E.Y

投稿者:E.Y

2024.05.22 - 10:00 AM