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セタビブログ

2022.05.22

「プロムナード・コンサート」について:近年開催されたコンサートの概要報告を中心に(4)

橘高昌男 氏/ピアノ(第255回プロムナード・コンサート、2018年)

橘高昌男 氏/ピアノ(第255回プロムナード・コンサート、…

本ブログで複数回に分けてご紹介してきた、当館の「プロムナード・コンサート」。最終回にお伝えさせていただくのは、ご出演いただく演奏家のことと、公演当日に会場でお配りしている「プログラム・ノート」についてです。

当館のプロムナード・コンサートは当初、初代館長 大島清次の発案により、世田谷区民を中心とするお客様がイベントに参加することで若手を中心に才能豊かな演奏家を応援し、芸術の体験を通じた交流のひと時を楽しんでもらうことを目指して始まりました。長年、音楽評論家の丹羽正明先生に企画協力をいただいています。

但し実際のところ、本コンサートのステージに立たれるのは、若手の演奏家ばかりではありません。なかには2度目のご出演を果たす方もおられ、かつてに開催されたプロムナード・コンサートにご来場くださったお客様を再び喜ばせてくださったりもします。

河原伴子 氏/箏・歌 河原抄子 氏/十七絃(第256…



そのほか、当館での公演日の後日に、他所で催される大きなコンサートのプレ・コンサートとしてご厚意でご出演くださる方や、美術館という芸術空間への関心からご出演の意向を寄せてくださる演奏家もおられます。ステージ経験が豊富な方々が本プロムナード・コンサートにご出演くださるのは、本企画が始まった当初はコンサートの開催が今よりも頻繁であったことや、過去のご出演者様のなかには、国内でもトップクラスの演奏家として現在活躍なさっている方が多数おられるなど、長年のイベント実施による実績によるものでしょう。

ご出演者様にはこれまで、「プログラム・ノート」(当日ご来場者様に配布する、演奏曲の解説等のご案内文)のご執筆・作成を任意でお願いしてきました。お客様にとっては、当日の演奏音楽をより深く味わい、堪能するためのアイテムとなる「プログラム・ノート」。「演奏家にとってもその作成は意義深いものです」との丹羽正明先生(音楽評論家・本イベントの企画協力者)からのご推奨もあって、これまでに催されたプロムナード・コンサートの大半で、ノートの作成・配布を行ってきました。当方でも書式を整えるなどのお手伝いはするものの、1時間半に及ぶ演奏に込めるさまざまな思いをあらかじめ言葉で綴ることは、ご出演者様にとって、なかなか汗をかく公演準備のようです。

ノートの内容にはさまざまな工夫をいただいています。曲目解説には演奏家の方ならではの視点や感性、情緒が込められた文章をお寄せいただくことが多く、ときには挨拶文を添えていただくなど、クラシック音楽はあまり聞きなれないという方から、聴衆としてベテランの域に達するご来場者(音楽家を含む)まで、さまざまなお客様に喜んでいただいています。

当日会場で配布するプログラム・ノート


コロナ禍の美術館で音楽コンサートを開催するためにはさまざまな課題がありますが、「すべての芸術はつねに音楽の状態をあこがれる」(19 世紀末の英国の批評家・ウォルター・ペイターの言葉)、「何よりもまず音楽を」(19 世紀後半のフランスを代表する詩人ポール・ヴェルレーヌの言葉)といった言葉のとおり、美術や詩、演劇や舞踊などのさまざまな芸術と、音楽との縁は浅からぬものです。音楽は私たちの日々の生活や、乾きかけの心にも潤いをもたらしてくれます。今日、自宅で過ごす時間が増えるに伴い、音楽を聴く方や楽器を習い始めたという日の数も多くなっているとか。

「「プロムナード・コンサート」について:近年開催されたコンサートの概要報告を中心に」は全4回シリーズでお伝えしてまいりました。いかがでしたでしょうか。
今後の開催予定は、決定次第当館ホームぺージにてお知らせいたします。ぜひお楽しみに。

●橘高昌男氏プロフィールと、コンサート開催時(2018年)の演奏プログラムはこちら:
第255回 プロムナード・コンサート 橘高昌男 ピアノ・リサイタル

●河原伴子氏・河原抄子氏プロフィールと、コンサート開催時(2018年)の演奏プログラムはこちら:
第256回 プロムナード・コンサート 箏と十七絃による河原伴子 河原抄子 ジョイント コンサート

●過去のプロムナード・コンサート開催一覧はこちら
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Y.Y

投稿者:Y.Y

2022.05.22 - 02:00 PM

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