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カテゴリー:内井昭蔵
現在開催中の「内井所蔵の思想と建築」展、残す会期もあと数日。
ここまできますと、あれよあれよいう間に最終日が近づいてきます。
今回の展示については、このブログで選挙カーのごとく「展示室の窓が開いてます、窓が開いてます」と連呼してきました。しかしです。窓を全開し、パネルを立てずに大空間をご覧いただこうとしますと、展示壁面が劇的に減少することは必然。建築そのものを見ていただくには明快で颯爽とした空間が生まれる反面、資料を展示するための壁面は激減します。
展覧会の準備段階、空間を構築するためのイメージはいたってスマートな方向でとまとまりました。しかし、現実の問題として資料をいかに展示するか…それは実に大きな悩みの種となったわけです。
そこで考案したのが、高さを700mmに統一した、ひたすら平らな展示台です。低すぎず、高すぎず、展示室の空間を感じることに障りのないプロポーションとヴォリュームを追求した結果が、この展示台の姿です。垂直方向で見せる展示から、水平方向で見せる展示に発想を切り替えたわけです。
しかし、それだけではツマラナイ・・・ということで、展示台の配置に仕掛をほどこしました。
ヒントは≪UCHII≫です。
少し背伸びをして、視野をいっぱいに広げ、展示室を見渡してください。
・・・ちょっとびっくりしつつ・・・しかも微笑みつつ…「あら。そうでしたか」と思っていただけたら、小さなガッツポーズができるのですが…
ささやかなお願い
※会期中、ご来館になれない方のために関連写真を掲載します。どうぞご覧ください。
※会期中、ご来館予定の方は関連写真をご覧にならないでください。丸見えなので。
内井昭蔵(1933-2002)によって設計された世田谷美術館は、都立砧公園の一角に建っています。
世田谷美術館は1985年に竣工し、翌春に開館し、建築としておよそ四半世紀の歳月を重ねてきました。地上2階で、かまぼこ型の屋根を冠する世田谷美術館は、砧公園に繁茂する木々のなかに静かに息づいています。
時間の経過とともに建築周辺の木々は成長し、世田谷美術館は周囲の自然となじみ合い、公園に棲む森の精霊たちの加護を受けているように感じられます。
世田谷美術館で開催中の「内井昭蔵の思想と建築」展関連企画として、ライブ「トリビュート・内井昭蔵に捧ぐ」を開催します。出演は、五十嵐一生さん(トランペット)、荒巻茂生さん(ベース)、本田珠也さん(ドラム)、吉澤はじめさん(ピアノ)、そして朗読は俳優・松田洋治さんです。
このイヴェントでは、内井昭蔵が世田谷美術館の設計にあたって提案した「美術以外の多彩なジャンルの表現を受けいれることを可能とするオープンな空間を構築する」というコンセプトを、より広がりあるものとして試みたいと思っています。
「内井昭蔵の思想と建築」展の会場(写真)をライヴスペースにあて、展示空間の中で音と言葉が混淆することによって、また違った心持ちで、世田谷美術館という空間と邂逅していただけると思います。
朗読する文章は、内井昭蔵の思想を伝える彼自身の言葉です。そして、世田谷美術館ファンである五十嵐一生さんが、空間と言葉にインスパイアされながら演奏を重ね合わせていきます。
建築と音と言葉が出会い、からみ合いながら織りなされる時間をどうぞお楽しみください。
ライブ「トリビュート・内井昭蔵に捧ぐ」
2010年2月27日(土) 19:30~21:00
料金/2000円
お申込みはプログラム&イベントより
「内井昭蔵の思想と建築」展も終盤を迎えています。
12月から始まった今回の展覧会は、内井昭蔵が世田谷美術館の設計基盤とした3つのコンセプトをベースに構成しました。
○周辺環境を考慮した公園美術館にすること。
○美術館という空間を日常化すること。
○美術以外の多彩なジャンルの表現を受けいれることを可能とするオープンな空間を構築すること。
こうした内井昭蔵の想いを大切にとらえ、今回の展示では、通常は遮光のために閉ざしている窓をすべて開放し、砧公園の美しい景観を窓から眺められるようにしてあります。そして、建築の各所の窓からは、横方向に広がる独特な世田谷美術館が織りなす様々な「かたち」を見渡すことができます。
今回の展覧会で最高の展示品は内井昭蔵の設計コンセプトから生み出された、この窓からの景観なのだと思います。
展覧会会場は内井昭蔵の建築家としての足跡をたどる内容ですが、同時に《世田谷美術館》という彼の代表作をとくとご覧いただく好機と思っています。彼が設計した《世田谷美術館》という器で、内井昭蔵の思想と建築を吟味する、そうした楽しみかたをしていただければ、と願っております。
内井昭蔵さんは、滋賀大学で教鞭をとられている間、暇をみては、英語版の聖書を書き写していました。「創世記」から「出エジプト記」の中程までを丹念に書き写したノートは三冊にもなります。また、物語から想起されるイメージを独特な表現で描き、計47点の挿絵を残しました。
今回、内井昭蔵展では、そのユニークな聖書画を電子ブックという形で展示しております。タッチパネルというのは、みなさんも銀行のATMでご存知かと思いますが、画面に触れることで、画面が変わる機能のことです。その機能を利用して、パソコンに画像を取り込み、書籍を電子化したものです。画面に触れると、仮想書籍が紙をはためかせながらページが送られていきます。これは、かなり快感です!
このごろ朝には霜が降りる寒い日が続いていますが、
ついに、先日東京にも今年初めての雪が積もりました。
一夜の銀世界はあっという間に溶けて消えてしまいましたが、
ほんの数センチの雪でも風景がいつもと違って見えるから不思議です。
内井昭蔵展の会期中、開け放たれた展示室の窓からは
刻々と変化する季節を眺めることができます。
作品を紫外線から守り、落ち着いた空間で鑑賞できるように
普段の展覧会で窓を開けることはほとんどありませんが、
今回は建築そのものと同時に、
建築と公園のつながりも見てもらうために、壁を取り去りました。
「内井昭蔵の思想と建築-自然の秩序を建築に-について」
ゲスト:内井乃生(内井昭蔵夫人、文化女子大学名誉教授)
ナビゲータ:橋本善八(本展担当学芸員)
特別展「内井昭蔵の思想と建築-自然の秩序を建築に-」で、ご協力いただきました内井乃生先生にお話を伺いました。
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世田谷美術館ミュージアムショップでは、「内井昭蔵の思想と建築 自然の秩序を建築に」展覧会に合わせて今回もさまざまなグッズをご用意して皆様をお待ちしております。
なかでも一番のお勧めは、何といっても展覧会の図録です。
内井昭蔵の手がけた建築を網羅する、とても読み応えのあるものに仕上がりました。
300ページ超のヴォリュームで、豊富な写真資料や関係者の貴重なコメントなどが多数掲載されています。
世田谷美術館の外観を撮影した写真や、内井自身による聖書をモチーフにした水彩画のポストカードも好評です。
内井昭蔵という名を聞き、即座に「世田谷美術館の設計者」と想起される方は、そうとうの「セタビ通」とお見受けします。緑多き砧公園の中に佇む世田谷美術館は、自然との融和、自然との同化といった考えかたを豊かにふくみ、そして「生活空間としての美術館」というコンセプトによって設計されました。そこには内井昭蔵がしばしば言葉にした「自然の秩序」が、色濃く反映しています。開館23年目を迎えた世田谷美術館という建築の相貌をつぶさに眺めると、砧公園の木々とともに生き、相応の年輪を重ねてきたのだと、しみじみと感じます。建築が歳月をかけて周辺環境と呼応し蓄えていく風格を、内井昭蔵は深く、そして大きくイメージして設計を進めたのだと思うのです。
当館は目下、その内井昭蔵(1933-2002)の設計活動に焦点を当てた展覧会を準備しています。
内井昭蔵は建築に深くかかわる「祖父」と「父」をもち、いわば「つくりて」としての血脈を引き継ぐ人でした。祖父・河村伊蔵はニコライ堂(神田駿河台)を創建した聖ニコライに仕えた正教会の聖職者であり、かつ、函館や豊橋のハリストス正教会の建設に深く携わりました。そして父・内井進も大正から昭和にかけて銀行建築などを中心に設計を行い、教会建築も手がけました。
このたびの展覧会、〈内井昭蔵の思想と建築〉では、彼の「祖父」と「父」が遺した建築家としての軌跡を顧みることを序章とし、内井の35年間にわたる設計活動を回顧します。内井は菊竹清訓建築設計事務所から独立後、約250の建築を竣工させました。本展ではその中から約100作品をとりあげ、それぞれの建築の多彩な造形を通じて、内井昭蔵の建築家としての、そして人としての思想を探っていきたいと考えています。