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カテゴリー:オルセー美術館展
オルセー美術館の開館20周年企画として、同美術館の全面協力により映画「夏時間の庭」が製作されました。今回の世田谷美術館での「オルセー美術館」展に先駆けて、今年5月に劇場公開され大変話題になりましたので、ご覧になった方も多いことかと思います。
実はこの映画の中に、今回の展覧会に出品されている『マジョレルの机』(ルイ・マジョレル作≪書斎机“蘭”≫)が登場しているのですが、お気づきになった方はいらっしゃいますでしょうか? 母エレーヌが住んでいる家の書斎で、書類などがたくさん置かれ、日常的になにげなく使われているライティングデスクとして登場しているのです。
もし、お見逃しの方がいらっしゃいましたら、来週一般発売されますDVDでお確かめになってはいかがでしょう? また、現在、世田谷美術館のミュージアムショップにて、展覧会の会期中限定で先行割引販売も行っています。展覧会を観覧後、違った視点で映画を見れば、新たな発見を呼ぶかもしれません。
「オルセー美術館展 パリのアール・ヌーヴォーについて」
ゲスト:鶴園紫磯子先生(桐朋学園大学講師、ピアニスト)
ナビゲータ:渡辺槙子(当館学芸員)
特別展「オルセー美術館展 パリのアール・ヌーヴォー」で、ピアノ演奏を交えた特別講演会をしていただきました鶴園紫磯子先生にお話を伺いました。
挿入曲:随行(ピアノ:鶴園紫磯子、歌:太田朋子)
バックサウンド:エリック・サティ サラバンド3番、グノシエンヌ2番、メディテーション(ピアノ:鶴園紫磯子)
「パリのアール・ヌーヴォー ベル・エポックの華麗な響き」より
PLAY(赤い三角印)をクリックして再生してください。
展覧会にいらっしゃった皆様は、貴婦人の部屋でお気づきになられたでしょうか。
ほのかに漂うパウダリーな香りを。
「オルセー美術館展 パリのアール・ヌーヴォー」では、今回、フランスのゲラン社より上品で華麗な香りを展示室内でお届しております。
ゲランの3代目調香師ジャック・ゲランが手がけた「蒼の時」を意味する「ルール ブルー」は、ベル・エポックを代表する香りといえるでしょう。当時の多くの婦人の部屋に飾られたであろう可憐な花々、その中でお化粧をする美しい女性たち。そんな雰囲気を醸し出す手掛かりとして展示室内に甘く、繊細な香りを漂わせてみました。
時間や空間、湿度、温度によって同じ香水でも違った香りに変化するというのは、一般的ですが、実際にアロマディフューザー(香りを拡散するツール)が置かれている展示室から遠ざかるにつれて徐々に変化していくのが感じられます。
香りを嗅ぐと急に昔の記憶を鮮明に思い出したことはありませんか。それを“プルースト効果”というそうです。脳内で記憶や情動、感情をつかさどる部位と嗅覚をつかさどる部位が非常に近いため、香りが記憶を刺激しやすいそうです。
アール・ヌーヴォーの家具、工芸品、装飾品を鑑賞した記憶が、香りと共に皆様の記憶に残ればと思います。
芸術の秋がやってきました。
世田谷美術館では、「オルセー美術館展~パリのアール・ヌーヴォー~」と「収蔵品展 和のいろ・かたち」が開催され、ご好評を頂いております。
19世紀パリの邸宅を再現したような1階展示室を抜けると、その余韻をのこすアンティークな雰囲気の特設ショップがあり、さらに2階へと階段を進めば一転、和の世界が広がっています。
世田谷美術館ミュージアムショップでは、洋と和、両方をお楽しみいただけるよう、さまざまな商品をそろえて皆様のお越しをお待ちしています。
19世紀パリの雰囲気に浸りたいという方は、マキシム・ド・パリのクッキーとオルセー美術館展オリジナルブレンドのコーヒーで、優雅なひとときをお楽しみになってはいかがでしょうか?
お洒落な箱に入った7種類のクッキーと、濃い目に入れたコーヒーで一息つけば、気分はパリのカフェ。
装丁も非常に美しいオルセー美術館展図録を片手にティータイムというのもなかなか素敵です。
また、アール・ヌーヴォーの名品たちがデザインされた愛らしいオリジナルグッズたちも見逃せません。
やはり和が落ち着くという方には、繊細な色合いの吉田善彦絵はがきや魯山人の一筆箋などもご用意しています。
秋の夜長に文をしたためる…というのもオツかもしれません。
これから深まる秋のお供を探しに、是非ミュージアムショップにもお立ち寄りください。
美術館で展示をしていると、長年の間に知らず知らずある常識に自分がとらわれてしまっていることに、気づかされ、愕然とすることがあります。9月12日に開幕したオルセー美術館展の展示を、同館の学芸員とともに行ったときのことです。
夏の暑さもおさまり、秋の気配が感じられる今日この頃ですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
世田谷美術館では企画展「オルセー美術館展 パリのアール・ヌーヴォー 19世紀の華麗な技と工芸」(9月12日(土)~11月29日(日))の準備が進んでおります。アール・ヌーヴォーの作品が企画展示室のあらゆるところに飾られることになります。展示は生活空間の中に作品が溶け込み、照明や香りなど様々な演出を駆使して、みなさまをお待ちいたしております。
展覧会に向けての準備は学芸員だけでなく、運送、施工などさまざまな方のご協力のもとおこなわれます。
美術品専用の運送業者さんがいることをみなさまはご存知でしょうか…?作品を梱包し、世田谷美術館まで運んでくれる方々です。作品が場所を移動する際にクッションを当てて作品専用の箱に入れて、とても大事に安全な状態を保ちつつ運んでくれるプロフェッショナルです。ブログの写真はひとつの作品を二人で丁寧に梱包してくださっているところです。作品を手際よく大事に包む様子は目を見張るものがあります。
いろいろなお仕事がありますが、どの方もみなさまに展覧会を楽しんでいただけることを願っております。
この秋に開催予定の「オルセー美術館展パリのアール・ヌーヴォー」では、アール・ヌーヴォーの建築家としてエクトル・ギマールを紹介するコーナーがあります。パリのメトロのあやしくも不思議に魅力的な入口をデザインした建築家です。
パリ16区は、ギマールによるアール・ヌーヴォーの建物が現在も多数残る地区として知られていますが、その中でも最も有名なのが、「カステル・ベランジェ」と呼ばれる集合住宅です。
ギマールは、この建築によってパリ市ファサード・コンクールで受賞し、建築家としてのスタートを切りました。この建築がなければ、パリのあのメトロの入り口はなかったことになる、という重要な建物です。
たしかに、柔らかなカーヴを描く鋳鉄の門扉、入口ホールの少々おどろおどろしい陶器製の壁、ステンド・グラスなどそのディテールは、若きギマールの才能が遺憾なく発揮されていて、歴史に残る名建築であるのは間違いなく、見ていて飽きません。今回、このギマール建築の紹介のため、撮影に行ってきました。