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カテゴリー:その他
世田谷美術館では6月8日までの展覧会「桑原甲子雄の写真 トーキョー・スケッチ60年」が無事に会期を終了いたしました。多くのみなさまにご来場いただき、どうもありがとうございました。
さてさて、28日からは当館での久しぶりの1、2階の展示室を使っての大型展となる「ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展」がいよいよ幕開けとなります!オープンに向け、準備は本格化しつつありますが、当館セタビカフェでもみなさまをお迎えする準備を整えているところです。
開催に先立ち、会期中にセタビカフェで販売する、ボストンにちなんだ地ビールとアメリカンフードの限定コラボメニューをお披露目したいと思います!
世田谷美術館には、建物内部だけでなく、美術館の周りの芝生の上などにも彫刻が設置されています。その作品たちは、時に、風に吹かれ、雨に降られ、そして、真夏の日差しにさらされ、雪の冷たさにも耐えています。そのような過酷な状態の中でも毎日健気に、己の勤めを全うしているのです。
みなさんは美術館でよく目を使うと思います。
絵を観たり、彫刻を観たり…。
手を使う人もいるでしょうか?
ご存知の通り、ほとんどの美術館では展示物を触ることはできません。
みなさん、こんにちは。気付けば、もう春ですね。
お花見はされましたか?世田谷美術館がある砧公園の桜は、例年よりやや早く開花し、もう葉桜になってしまいました。
冬の冷たいナイフのような風から、ふわっと優しい風に変わって、そこかしこにポツポツと白やピンク、黄色の花をつけるこの時期は、本当にワクワクする季節ですよね。
東京は先日木枯らし1号が吹きました。
朝晩すっかり冷え込むようになり、美術館の前庭にある欅の葉が目にも鮮やかな黄色へと日ごとに変化しています。砧公園の紅葉を楽しむ絶好の季節となりました。
公園を散策した後は、是非美術館のカフェにお立ち寄りください。
寒さで冷えた体に嬉しいメニューが今日から新たに仲間入りしました。
5月20日の日曜日、大蔵運動公園にて「区政80周年 第27回砧地区緑化まつり」が盛大に開催されました。当日は天候にも恵まれ、大変多くの方で賑わいました。
世田谷美術館では、美術館ボランティアの皆さんの協力を得て、100円ワークショップ「オリジナルカンバッチをつくろう」のコーナーを設置・参加させていただきました。
オリジナルカンバッチは、準備していた120個がおまつり終了の前に完売するほどの盛況でした。誠にありがとうございました。
爽やかな初夏の風が心地よい今日この頃。
職員S子は、世田谷美術館に新しくできたカフェにお邪魔してみました。
ミュージアムショップの前にある、薄暗いらせん階段を下りると、黄色い光の中に座り心地のよさそうなイスと、滑らかな木製のテーブルが並んでいるのが見えてきます。その奥にあるカウンターからカフェの店員さんたちが温かい笑顔で迎えてくれました。世田谷美術館の1階エントランスは、天井も高く、空間も広く、その上、重厚感のある大理石でできています。美術館という施設が、日常からかけ離れた空間を積極的に演出しているのは当然ですが、そのようなところでもほっと緊張感がほぐれる場所があると嬉しいですよね。
3月31日世田谷美術館のパティオに新たに登場したカフェ。
オープニングメニューのおすすめは、ランチセットの季節の野菜とベーコンのガレットです。そば粉の香ばしい生地のクレープの上には、定番野菜のトマトやニンジンなどに加え、春の訪れをつげる野菜たちが、パレットのようにカラフルに盛り付けられています。
3月31日(土)のリオープンに合わせて、美術館地下にカフェもオープンします。ドリンクメニューはもちろん、フランスの郷土料理である、そば粉を使ったクレープ「ガレット」、クロワッサンサンド、といった軽食や、季節のタルトなどのスウィーツも多数ご用意しています。また、ピクニックランチボックスなどのテイクアウトメニューもあり、パティオ(中庭)ではペット同伴もOKです!砧公園にお散歩に来た際には、ぜひ気軽にお立ち寄りください。
先日このブログでお伝えしましたが、2月18日(土)~19日(日)の2日間「第35回せたがや梅まつり」会場でPRコーナーを出店しました。今年は寒さでどこも梅の開花が遅れましたが、残念ながら羽根木公園もまだまだでした。「これはお客さん少ないかな…」とちょっと覚悟したのですが、なんと行列ができるほど大勢のお客様がいらっしゃいました!特に日曜日は天気がよかったこともあり、予定よりも早く景品がなくなってしまいました。
世田谷文学館との共同企画による「都市から郊外へ―1930年代の東京」展は、連日非常に熱心なお客様にご来館いただいています。
通常の美術展とも文学展とも違った趣の展覧会。まず〈住宅〉のパートより展示が始まります。東急電鉄による沿線開発や、成城学園前駅一帯の分譲と朝日住宅の販売など、1920年代からの世田谷一帯の住宅化の概略を見ていただいてから、〈広告〉、〈写真〉、〈文学〉と進みます。
世田谷美術館の休館中の事業のひとつに、芦花公園にある世田谷文学館との共同企画展の開催がありました。
約2年前の2010年初夏より両館の担当者が集まり企画を練り、収蔵品を核に世田谷区が誕生した1930年代の、郊外という視点から東京の文化を紹介する展覧会にしようと決定。文学、絵画/彫刻、版画、写真、映画、音楽、住宅、広告の8つのジャンルをたて、担当を割り振り、準備してきました。
昨年の秋から、広報印刷物、カタログの作成、作品の集荷、展示と急ピッチに作業を進め、ついに、2月11日に無事にオープンすることができました。
担当としては8つのジャンルが展示室のなかで有機的に連続して、1930年代特有の時代の空気が皆様に伝わることを願っています。
是非ご高覧いただけますようお願い申し上げます。
画像は展覧会カタログです。
2月4日(土)から26日(日)まで羽根木公園(代田4-38-52)にて「第35回せたがや梅まつり」が開催されます。その会場で2月18日(土)~19日(日)の2日間、せたがや文化財団と友の会との共催で、PRコーナーを出店します。今回も大好評の玉入れゲームを行います!
先週末、JRA馬事公苑で行われた、ふるさと区民まつり。ご参加くださった皆さま、そして、せたがや文化財団&友の会のブースに足を運んで下さった皆さま、ありがとうございました。
せたがや文化財団&友の会のブースでは、お手玉入れゲームをやっていただきました!小さなお子様から、人生の大先輩まで、本当に大勢の皆さまにご参加いただくことができました。的を狙う真剣なまなざし、一等賞の笑顔、的が外れて照れ笑い…皆さまの豊かな表情が大変印象的でした。
大きな声を出し、お祭りの雰囲気を肌で感じながら、皆さまと笑って過ごした2日間。参加させていただいた私も爽快感でいっぱいになりました。
見事招待券をゲットされた方々。世田谷文学館、世田谷美術館分館スタッフ一同、心よりご来館をお待ちしております。
明日8月6日(土)、明後日7日(日)は第34回ふるさと区民まつりがJRA馬事公苑で行われます。
物産展では、ふるさとの特産品を購入することができたり、消防ふれあいコーナーでは、はしご車に体験乗車できたり、プロ棋士による囲碁・将棋の指導コーナーがあったりと、だれもが楽しめるライブやイベントが盛りだくさん!
せたがや文化財団も、ブースを設け、楽しいゲームなどを行います。素敵なプレゼントもご用意しております!
不安定な天気が続くこのごろですが、皆さまが、足を運びやすい天候になるよう祈っています。
それでは、会場でお待ちしております。
先日このブログでお伝えしましたが、5月15日(日)に大蔵運動公園噴水前広場周辺で「第26回砧地区緑化まつり」が開催されました。これまでも美術館ボランティアの皆さんと一緒に、世田谷美術館PRコーナーとして参加させていただいてきましたが、今回は「100円ワークショップ」をPRしよう!ということになり、「100円ワークショップ 緑化カンバッチをつくろう!」を行いました。そのため、場所がいつものテントではなく、ステージの左奥、青少年地区委員会の皆さんが行っている「子どもコーナー」の向かい側を確保していただきました。この「緑化カンバッチ」とは、好きな色の台紙を選んでその上にいろいろな形や色の切り紙を貼っていき、自分だけのオリジナルカンバッチを作っちゃおうという企画でした。特に今回は「緑化まつり」にあわせて、いろいろな葉っぱやカエルなどの切り紙を用意しました。
おかげさまで「白洲正子 神と仏、自然への祈り」も大好評のうちに終了いたしました。企画展開催時の毎週土曜日に行っている100円ワークショップも、これでしばらくお休みとなってしまいます。しかし、5月15日(日)に大蔵運動公園噴水前広場周辺で開催される「第26回砧地区緑化まつり」の会場で、100円ワークショップを行うことが決定しました!
美術館に入ったところがエントランスホールです。設計者の内井昭蔵が美術館の内部を暗示する象徴性の高い空間をめざして設計したものです。各室へ行くための起点となり、また展示室から区民ギャラリーへなど他の場所へ移動する時の交差点ともなっています。
いよいよ寒さも本格的になってきました。
砧公園も、すっかり冬景色…かと思いきや、
遅れてやってきた秋の名残か、まだ紅葉を見ることができます。
すっかり葉が落ちてしまった木もありますが、
もみじの紅が冬の澄んだ空に映えてとても綺麗です。
そして今が季節のサザンカや、薔薇も咲いています。
意外にも色鮮やかな12月の砧公園、
コートとマフラーを着込んで、繰り出してみてはいかがでしょうか。
12月23日(木)には、彫刻家・佐藤忠良さんの展覧会がオープンします。
砧公園の自然を背景に、彫刻を鑑賞できる空間もありますので、ご期待ください。
砧公園といえば桜の名所でもあります。桜の季節といえば春ですが、砧公園にはこの時季に木枯らしに耐えながらひっそりと咲いている桜があります。それがこのジュウガツザクラです。これは年に2回咲く珍しい桜なのです。美術館エントランス広場の近くに2本あります。春は華やかですが、この時季はひっそりと咲いているので、気がつかない人も多いのではないでしょうか。駅から遠くてちょっと不便な世田谷美術館ですが、その代わり周りにもいろいろ見所があるのです。
すっかり肌寒い季節になりました。世田谷美術館の周りの緑もかなり色づき、枯葉が舞い落ちております。「くぬぎの広場」にある大きなヒマラヤスギに付いている「松ぼっくり」もすっかり茶色くなりました。「杉なのに松?」と思う方もいるでしょう。ヒマラヤスギは「スギ」という名前が付いておりますが実はマツ科だったのです。ゆっくりと成長する「松ぼっくり」、落っこちてくるにはもう少し時間がかかりそうです。このヒマラヤスギは、レストラン「ル・ジャルダン」からもよく見えます。
パウル・クレー・センター
9月になりましたが、まだ暑い日が続いております。
みなさまいかがお過ごしでしょうか。
当館では今、ヴィンタートゥール美術館からの作品を展示しております。
ゴッホ、ルソー、クレーなど全て日本初公開の作品ばかりです。
芸術の秋にぜひスイスのコレクションをご堪能いただけると幸いです。
みなさま暑い日がまだまだ続いておりますがお元気でしょうか。
当館では定期的におこなっているコンサートがあります。9月で216回目を迎えることになるこのコンサートは若手アーティスト育成の場として、開館当初から無料でお客様に提供いたしております。
最近は美術館でコンサートをおこなうところも多くありますが、絵や彫刻を展示する美術館で、コンサートをおこなうことに違和感を持たれるかたもいらっしゃるかもしれません。
ここで少し美術と音楽の親しい関係についてお話をさせていただこうと思います。
古代ギリシアにはムーセイオンとよばれる神殿がありました。
これは9人の女神であるミューズに捧げられた神殿でした。全能の神ゼウスと記憶の神ムネモシュネーから生まれた9人の学芸の女神はそれぞれカリオペ(叙事詩)、クレイオ(歴史)、エウテルペ(叙情詩)、タリア(喜劇)、メルポメネ(悲劇)、テルプシコホレ(舞踏)、エラト(恋愛詩)、ポリュムニア(聖歌)、ラウニア(天文学)です。記憶の女神を母に持ち、人間の体の記憶に直接関わる営みこそが、当時は「芸術」として尊ばれていたそうです。
夏が近づき、公園の緑が日に日に濃さを増しています。当館のシンボルともいえる、樹齢百数十年のクヌギの大樹も、豊かに葉を繁らせつつあります。
世田谷美術館の建物は、このクヌギを切り倒さないことを条件に建てられました。設計を手掛けた内井昭蔵氏は、クヌギを始めとする木々の緑を館内からも楽しめるように、大きなガラス窓のある展示室や渡り廊下をつくりました。ここは自然と共生する美術館なのです。
七つ道具。たとえば画家にとっては、絵筆やパレット、スケッチブックやイーゼルなどであり、サッカーの審判員にとってはホイッスルや赤・黄のカードだったりするわけです。
私にとっての七つ道具は、以下の品々です。
5.5メートルの巻尺、小型電卓、木綿の白手袋、細かなゴムの突起が付いている軍手、LEDの懐中電灯、単眼のギャラリースコープ。
世田谷美術館、世田谷美術館分館清川泰次記念ギャラリーには、世田谷区内または東京都内で活動されている方々の創作活動発表の場として、区民ギャラリーを併設しております。
絵画、彫刻、写真、工芸、書など様々なジャンルの展覧会が6日間ごとに開催されます。
風そよぐさわやかな季節となり、砧公園の桜も間もなく見頃を迎えます。公園の木々も新芽が吹き出し、園内も鮮やかな黄緑色に染まりつつあります。桜や新緑を楽しみに砧公園を散策される折りに、園内にある世田谷美術館の周囲に設置された野外彫刻に目を向けてはいかがでしょうか。美術館の周囲にはどなたでもご覧頂ける野外彫刻が数多く設置されています。
少々縁あって、ルソーの《ビエーヴル谷の春》(メトロポリタン美術館蔵)という作品が気になっています。木々の芽吹きの頃ののどかな風景ですが、「谷」というには、流れが妙に平面的で、その地面は緑と白のストライプにしか見えないという不思議な作品です。
そもそもビエーヴル谷というのはどこにあるのでしょうか。実はビエーヴル川という流れは、その昔パリの南部を南から北へ流れ、セーヌ川に注いでいた小川だったのでした。19世紀の都市大改造の中で暗渠(あんきょ)となり、いまではほとんどその存在は忘れられていますが、現在のケレルマン公園のあたりから当時あったパリの城壁をくぐって市内に入り、ムフタール通りに添って北上、植物園の南でセーヌに注いでいたといいます。
携帯電話は遥か未来の話、固定電話もまだあまり普及していなかった1920年代。遠く離れた家族に連絡をするには電報か手紙しかありません。そして大切な人からの手紙は、どんな些細な内容であろうと大事に取っておくものです。
三重県出身の異色の芸術家兄弟、彫刻家の橋本平八と詩人の北園克衛(本名・橋本健吉)は、大正時代の一時期、世田谷の太子堂で一緒に生活をしていました。しかし、大正14年の秋、兄の平八は体調を崩し、また結婚の話も進んでいたので実家に帰り、弟の北園は太子堂で一人暮らしを始めます。以降、平八が若くして亡くなってしまう昭和10年までに、北園が平八に送った手紙が100通以上残っていて、先日、目を通す機会を得ることができました。万年筆や筆と道具を変え、ちょっとデザインされた字体や殴り書きと、その時々の感情がダイレクトに伝わってくるようです。
秋の行楽で砧公園に訪れる方々とあいまって、賑わいをみせている世田谷美術館。
そのエントランス前広場からほど近い場所に、一見、季節はずれ?とも思える桜の花が、見ごろを迎えております。
この桜、ジュウガツザクラといい、またの名を「冬桜」とも呼ばれる品種です。年に二度、春と晩秋に花を咲かせるのだそうです。思わず足を止め、写真を撮る人に囲まれ、ちょっとした人気者になっている様子。
現在、当館では、「オルセー美術館展 パリのアール・ヌーヴォー 19世紀末の華麗な技と工芸」展を開催中です。百花繚乱、アール・ヌーヴォーの世界をご堪能いただいたあとには、ぜひ、この可愛らしい桜も見つけてみてください。
世田谷区にはレンタサイクルシステムがあるのをご存知でしょうか? レンタサイクルシステムとは、1台の自転車を複数の人が共有して利用する仕組みです。通勤に、通学に、また買い物や散策など、自転車が必要なときに利用できます。
京王線『桜上水駅』、小田急線『経堂駅』・『成城学園前駅』、田園都市線『三軒茶屋駅』・『桜新町駅』の5駅にポートがあります。このうち『桜上水駅』・『経堂駅』・『桜新町駅』にはコミュニティサイクルポート『がやリン』があり、相互利用(どこでも借りられ、どこへでも返せる)のできるシステムを導入しています。
世田谷美術館にいらっしゃるには何通りかのルートがあります。
東急田園都市線の用賀駅からバスまたは徒歩で。
小田急線の成城学園前・千歳船橋駅からバスで。
また、日曜日であれば、田園都市線の急行が止まる二子玉川駅からバスが運行されています。
今日は、一番利用率の高い用賀駅から世田谷美術館へのルートをご紹介いたしましょう。
と、言っても何度かいらしたことがある方にはお分かりの道ですけれど。
秋の気配が漂い始めたら、お天気のよい日には歩いていらっしゃるのもよいかもしれません。用賀駅からは、ゆっくり歩いて20分ほどの道のりです。
今日はこの場を借りて、少々遅ればせながら、一冊の新刊本をご紹介したいと思います。『美術批評の先駆者、岩村透 ラスキンからモリスまで』(田辺徹著、藤原書店、2008年12月刊)、という本です。
岩村透(1870-1917)の名は、日本で初めて西洋美術史を体系的に紹介した人物として、耳にしたことはあるかもしれませんが、その生涯や活動の詳細を知る人は、美術史を専門とする人のあいだでも、わずかしかいないように思います。明治中期、10代にして米国経由で渡仏し、5年の歳月をそこで過ごしたのち、帰国後は盟友となった黒田清輝とともに、東京美術学校の改革に乗り出し、そこで鷗外の後任として西洋美術史を講じつつ、一方では私財を投げうって数種の美術雑誌を創刊し、「美術批評」と呼ぶにふさわしい論述を展開させた、―という人物です。ラスキンやモリスの研究も手掛けましたが、官制との齟齬から美校を退いたのち、若干47歳で病死。そのためか、この評伝の著者によれば、岩村の存在は、その先駆性や重要性に反して、世の中ではほとんど忘れ去られてしまったということです。
美術館は日本全国にいったい何館ぐらいあるのでしょうか?
大きな美術館から小さな美術館、国立や公立から財団や私立の美術館まで、その大きさや運営母体、そして専門分野は、ほんとうに多岐にわたっています。
全国的な実態調査は文部科学省が行っており、3年ごとに調査結果が、ホームページに掲載されています。このホームページで、今みることができるのは、平成17年度の調査結果です。歴史や民俗や水族館、動物園、文学館や美術館などすべてを寄せ集めると、こうした社会教育施設は全国で5600ほどあるようです。
そのなかで、美術系は600館を超えています。1都道府県あたりの数は600館を47で割れば、約13館ということになります。日本の人口1人あたりであるとか、県民1人あたりとか、いろいろと興味深い数字が引き出せそうです。
みなさん、世田谷美術館の1階と成城にある分館・清川泰次記念ギャラリーに、区民ギャラリーがあるのをご存知ですか?
週替わりで、世田谷区を活動拠点とした方々が作品を発表しています。グループ活動や絵画教室などの発表であったり、個人の方の作品展であったり、区内の小中学校の作品展であったり、絵画あり、彫刻あり、写真あり、書あり、工芸ありと、その時々に様々な作品が展示されています。いずれも力作揃いです。
美術館ホームページでも展示内容のご案内をしていますが、どなたでも入場無料ですので、世田谷美術館、清川泰次記念ギャラリーにいらした時に覗いてみてはいかがでしょうか?
企画展や収蔵品展とは違った世界に出会えるかもしれませんよ。
昨今、ニュースでも報道されているとおり、高齢者の方の運転による交通事故を防ぐため、警視庁では、高齢者の免許証の自主返納を呼びかけています。が、身分証明書として携帯したい方が多く、なかなか返納に応じる方がいらっしゃらないのが実情のようです。
自由が丘にある世田谷美術館分館・宮本三郎記念美術館では、宮本三郎が生前に収集していた書籍を展示している展覧会「画家の書棚にみる昭和のアート・ブック史 宮本三郎文庫より」を開催中です(3月22日まで)。そして今週からは、様々な書店や本にまつわる方々をお招きし、特別展示・販売を開催します。一番手は「本のある生活をふやすために、人と本が出会う素敵な偶然を演出するために、 さまざまな場所で今までなかった本のあり方を模索」する人々、ブックピックオーケストラの皆さんです。
現在、自由が丘にほど近い世田谷美術館の分館・宮本三郎記念美術館では、宮本三郎の蔵書と絵画で構成された展覧会を開催しています。宮本は、獅子文六や林芙美子らの書籍の装丁をはじめ、戦争関連の書籍や子供のための絵本、その他当時の流行作家の装丁(藤田嗣治、東郷青児、小磯良平らによる装丁なども!)を手掛けておりました。本展はそれらを当館が収集した彼らの蔵書―「宮本三郎文庫」から選び出し、展示しているものです(3月22日まで開催/新年は1月3日まで休館)。
山口薫展も23日(火・祝)までと、会期残り僅かとなりました。
クリスマスムードが盛り上がりつつあるこの時期、清らかな音楽がエントランスに響きわたりました。<クリスマスのせたがやロビーコンサート~やさしいオルガンの音色にのせて>という(財)せたがや文化財団 音楽事業部が主催するコンサートが本日美術館のエントランスホールで開かれました。
オルガン(小島弥寧子)とカウンターテナー(本岩孝之)による「アヴェ・マリア」や、「諸人こぞりて」、「きよしこのよる」といった馴染みのある音楽が演奏され、しばし、エントランス全体がクリスマスの雰囲気に包まれました。
11月3日は文化の日。そして世田谷美術館では「山口薫」展が初日を迎えます。
山口薫は1933年から35年間にわたって世田谷区上北沢にアトリエをもち、そこで制作に励んだ画家です。
この11月3日、午前11時~午後3時まで、世田谷美術館前庭で「アートフリマinセタビ」を開催します。
手作りの品々を並べる40ものお店が花畑のようにひろがります。ステキなアーティスト、ステキな逸品と出逢える場であること間違いなし!
ゲストには、ドラマーの尾崎元章さんがファシリテーターをつとめるドラム・サークルを迎えます。みんなで輪になって、ドンドコドンドコ!ドラムの音を高らかに響きわたらせましょう。
ドラム・サークルは参加自由!楽器がなくても誰でも参加できます。
秋の気配につつまれた砧公園で、皆さんと楽しい時間を過ごしたいと思います。
文化の日、砧公園はアートとサウンドにあふれます!
バリバリの現代美術、ダニ・カラヴァン展の余韻がまだ濃厚にただよっているエントランスホールで10月31日(金)、今度は伝統美100パーセントの「燈能(あかりのう)」が演じられます。
今年の演目は「紅葉狩」。紅葉をめでる酒宴のさなかにふっと現れた醜女、美に酔うまどろみとうつつを、重要無形文化財保持者・桜間右陣が見事に舞い切ります。
美術館の壁面は堅いトラバーチン製なので、笛や小鼓大鼓、太鼓の音がそれはよく響き渡ります。ダニの未来永劫につづくかと思われた水滴の音が、突然一期一会の能楽に変ずる様を、ご自身の目と耳でお確かめください。
といっても、美術館でなぜ棉を育てているのか、不思議に思われるでしょう。
これは三軒茶屋にある生活工房が主催している「セタガヤーン・プロジェクト」の一環なのです。衣服造形家の眞田岳彦さんが考えたプロジェクトで、世田谷区の小学校、中学校、児童館など各所で棉を育てて、棉花を収穫し、その棉花を素材とした作品を制作するというものです。素材を大勢で育てることで、このプロジェクトを分かち合います。
実は、去年もこのプロジェクトを行っており、私も美術館の敷地内で棉の種を植えました。しかし、ちゃんと育つ前に全滅。そこで、今年は生活工房から苗の状態で、5株ゆずってもらい、植えました。で、見事、開花。ちゃんと棉が取れるか、楽しみです。
先日7月23日(水)に、「写世術/photo projects vol.2 Dwelling 勝又邦彦」のワークショップを行いました。有り難いことにご応募は、定員の2倍以上も頂きました。当日の参加者は、お昼に多摩美術大学上野毛キャンパスに集合。うだるような暑さの中、14組の親子が集まってくれました。
7月3日(木)に、三軒茶屋の生活工房で、写世術vol.2第一会場の展示が始まりました。この展覧会は、同じ財団法人せたがや文化財団の二つの組織である、世田谷美術館と生活工房が共同して企画・開催するイベントです。
来月よりいよいよ、「写世術/photo projects vol.2 Dwelling 勝又邦彦」が始まりますが、今日はそのメイキング(制作風景)映像の撮影を行いました。「今回の展覧会タイトルのDwellingは、そもそも世田谷という住宅地にすむようになってから、より意識的に考えるようになった」と言う勝又さん。
その勝又さんが普段どのように制作しているかを、身近に感じてもらうために、今回の展覧会場ではメイキング映像を流します。実際に大判カメラで撮影する場面など、興味深い制作の裏側が続々と登場する予定です。
世田谷美術館友の会のホームページが5月13日に開設されました。チョットのぞいてみてください。見てびっくり!なんか、ホームメードのケーキのような手作り感が一杯の、見やすく分かりやすく、ていねいなつくりです。
トップページには緑に囲まれた“世田美”のほか、砧公園の花や木々、展覧会・講座等が掲載され、各ページには活動の内容や入会手続き、交通案内・周辺地図が詳しく紹介されています。
この友の会には、世田谷区民のほか他府県市町村の方も大勢いらっしゃって、爽やかな自然を愛でながら展覧会を見学し、講座やボランティア活動などにも熱中しています。会費も手頃ですよ。
さあ、あなたもルソーやピカソになりましょう!!!(Y.S)
美術館に自分自身の絵を飾りたい。自分でお洒落な展覧会をつくってみたい―。いまそうした思いは人々のあいだに、静かに、しかし深く大きくひろがっています。それにお応えするのが本館と清川泰次記念ギャラリーにある区民ギャラリー。
あまり色気のない名前ですが、それぞれ大きな窓のある素晴らしい空間です。4月15日~20日の期間で開いているのは五つの展覧会。いずれも企画展仕込み中の、ちょっと寂しい美術館(本館)に活気を与えてくれる、元気溌剌たる展示です。
パーソナルストラクチャーズが、世田谷美術館で国際シンポジウムを開催します。
テーマは「存在」。いま活躍中のアーティストや美術史家の方々が多数あつまり、熱い討論を繰り広げるそうです。
主な参加者はジョセフ・コスース、ピーター・ローダーマイヤー、遠藤利克、サンナ・マランダー、岡部昌生、小河朋司、太田三郎、ルネ・リートマイヤー、桜井由子、Heartbeat drawing-Sasaki、川俣正。
2008年4月2日11:00-17:00、4月3日11:00-15:00に、世田谷美術館の講堂で行います。入場料は無料です。連絡先はinfo@globalartaffairs.org
3月18日(火)より、「写世術/photo projects vol.1 萱原里砂」の当館での展示が始まりました。萱原さんの全シリーズを構成した30点の作品が並び、見応えのある展示になりましたので、是非ご覧頂きたいと思います。会期は23日(日)までです。三軒茶屋の生活工房では、萱原さんの最新作の展示に加えて、本日よりワークショップの報告展示が始まりました。記録映像とパネルで、15日(土)のWSの様子がご覧いただけます。こちらは3月31日(月)まで。
前回好評だった(かもしれない)公共交通機関を使ったアクセスに続いて、今度は車でのアクセスです。環八のすぐ脇にあるセタビは、車で来るには便利な場所にあります。けれども東名高速の高架下にある無料駐車場が、やや離れた場所にあるために、ちょっと苦労された話も聞きます。
という訳で、今回は写真付きで、なるべく分かりやすく道順を記します。
先日のニュースで知った方も多いと思いますが、世田谷区在住の写真家・写真評論家の桑原甲子雄さんが昨年末にお亡くなりになりました。桑原さんの作品は3年前の展覧会でも出させて頂いたので、それを思い出すと残念でなりませんが、94歳で天寿を全うされたことに対して、素直に「ご苦労様でした」という思いを抱きます。
砧公園でも霜柱を見かける寒い日が続きますが、美術館のエントランスには、雅な雛飾りが展示され、一足早い春が訪れました。
このお雛様は、戦後、日比谷公会堂で赤十字の催し物があった際、梨本宮大妃殿下の前で中村歌右衛門が踊った記念に、大妃殿下から頂いた内裏雛です。もともとは、1882(明治15)年2月2日、公爵鍋島直大の次女として生まれた梨本宮伊都子妃殿下が、1900(明治33)年11月28日、梨本宮守正王殿下とご結婚され、大妃殿下が梨本宮家へお輿入れになった時に持参したという由緒ある雛飾りです。
まん丸の愛らしいお顔は、よく見るととても繊細な筆で眉毛一本一本が丁寧に描かれています。
お二人ともふかふかのお座布団に鎮座され、美術館にいらっしゃるお客様をお迎えくださっています。
昨日、東京では珍しく雪が積もりました。美術館は砧公園という大きな公園の中にあります。いつもは朝から親子連れや散歩、ジョギングなどでにぎわっているのですが、さすがに、この日はひとっこひとり見えませんでした。
そんな雪の中、いらしてくださったお客様にお声をかけると「寒いので、南の島(パラオ)の展覧会を見に来ました」とおっしゃっていました。なるほど。
しばしば「駅から遠すぎるよ」とお叱りを受けてしまう、我らが世田谷美術館(笑)。その度に「すいませんねえ」と申し上げるしかありません。
当館のチラシやホームページには、美術館へのアクセス(交通案内)情報を掲載しています。諸般の都合(バスの本数が少ないなど)で、そこに載せられない別の行き方についても、参考までにここにご紹介しておきます。これで少しは、世田谷美術館への「心の距離」が縮まればいいんですが…(笑)。
当館人気の世田谷区民対象の長期講座「美術大学」では、年間約50日の授業をおこなっています。昨年、人気のあった授業のひとつが、群馬直美さんの葉っぱのワークショップ。群馬さんは四半世紀以上にわたって、ひたすら葉っぱだけを描き続けてきた異色の画家です。自分でも「葉画家(ようがか)」と名乗っておられます。このワークショップでは4回にわたり、1日1枚じっくり葉っぱをじっくりと描きます。お天気の日には中庭に机を出して青空教室。「だって、外の方が気持ちいいでしょ」と当然のように言う群馬さんのユニークな方針です。また、最終日には、当館のランドマークともいえる大きなクヌギの木に葉っぱよろしく、作品をつるしてミニ展覧会を開催しました。
「美術大学」では、この授業の他にも、彫刻や版画といった実技、グループで映画を撮るワークショップ、また美術史の講義や展覧会鑑賞会などをおこないます。次年度の美術大学受講生の募集は3月より開始いたします。
明けましておめでとうございます。
今年世田谷美術館は22歳となります。人間でいえば大学を卒業して、いよいよ一人前の社会人となる年ごろですよね。あらためて、自分の足で大地を踏みしめながら、しっかり歩いていかねばと考えているところです。
展覧会の方はといえば、「パラオ-ふたつの人生」(開催中~1月27日)から、「冒険王・横尾忠則展」(4月19日~6月15日)、「石山修武建築が語る夢(仮称)」(6月28日~8月17日)、「ダニ・カラヴァン展」(9月2日~10月21日)、「山口薫展」(11月3日~12月23日)まで、いずれもスリリングなものばかり。日ごろ鍛えているチームワークの良さと軽快な身のこなしが、今年も存分に発揮されそうです。
昨年7月から9月まで、当館では企画展「クリエイターズ 長大作 / 細谷巖 / 矢吹申彦」を開催いたしました。
この展覧会の細谷巖さんの展示エリアを、細谷さんが社長を務める株式会社ライトパブリシティに所属していた長隆治郎さんが撮影しました。
展覧会が終了して1年経って、私の元に大きな宅配便が。開けてビックリ!でろんでろんと長い長い巻物が出てきたのでした。それはなんと、細谷さんの展示エリアを一繋がりにした会場写真です。しかも、壁面だけではなく展示ケースも完全収録。全長6m20cm。うーん脱帽。
皆様にもぜひご覧いただきたく、美術館地下の無料休憩コーナーで12月28日まで特別公開中です。
「吟香(ぎんこう)」、という人物、ご存知でしょうか。一般には広く知られているとはいえないかもしれませんが、実はこの方、岸田劉生のお父様にて、幕末から明治にかけて波乱の人生を歩んだ人、本名は岸田辰太郎(1833-1905)。岡山の山村に生まれながらも学問で身を立てて、江戸に上って藩士となり、また離婁の明をもって次々と新しい事業を興した破格の大人物、歴史的な先覚者でした。
去る10月の末、この吟香の生地である岡山県の山間部、美咲町を訪れました。清々しい秋晴れの日、地元の方に車でお連れいただくこと数時間、辿りついたのは山あいの小さな村落。そこで現在も「岸田」の姓を継いで暮らしておられるご老人にお目にかかりました。村はずれの山の斜面には、苔むした数十の墓石が並ぶ岸田家代々墓所があり(ちなみに吟香以後の墓所は東京・谷中にあります)、そこから眼下を見渡すと、その風景はさながら江戸末期のままのごとく感じられました。
ここ数年の間に、日本でもすっかりおなじみになってきたハロウィン。
このお祭りにまつわるワークショップを、分館の宮本三郎記念美術館では毎年開催してきましたが、今年度は去る10月28日(日)に開催。みんなでカボチャのランタンづくりに取り組みました。大人も子どもも、大きなカボチャと格闘しながら、最後にはいろいろな顔のランタンが勢ぞろい。それぞれのお家でハロウィンを楽しむ準備となりました。さらに、今年のハロウィンワークショップは特別な“おまけ”つきでした。
先日出張で気仙沼へ行く途次、一度訪ねてみたい宿があったので、一ノ関まで足を伸ばしました。すでに日が暮れてしまった初秋の一ノ関は、かすかに冷気をおびて、宿の明かりを見つけたときには、自然とこころが和らぎました。
この宿と世田谷美術館の分館は、深い関係があるのです。みなさんは、向井潤吉アトリエ館の展示室の一部が、土蔵であることをご存知でしょうか。
今日、明日と美術館の外に設置している屋外彫刻のメンテナンスをしています。
屋外彫刻もれっきとした収蔵品。砧公園にきた多くの皆様に、鑑賞していただいています。しかし、日々風雨にさらされ、よごれたり、くすんだり、ちょっと錆びたり。
それでも長くいい状態で、美術館の建物を取り囲み続けていただかなければならないので、定期的なメンテナンスは欠かせません。そこで、専門の方にお願いしております。
洗浄して、設置部分が土に埋もれていたら掘り起こして、錆びが進んでいないか、破損はないか、チェックしてもらいます。そして最後は保護剤を塗布して、きれいな状態に。
彫刻たちもお風呂に入ったようで、さっぱりしているでしょうか。
世田谷区では区政75周年を迎えたことを記念し、この10月6日(土)、功労のあった皆様方を表彰することになりました。美術館と関わりのある分野からは、特別文化功労表彰ということで桑原住雄、横尾忠則、丹羽正明の三氏が選ばれています。それぞれ美術館の作品収集、展覧会企画、教育普及、そして音楽イベント・プロムナードコンサート事業への長年の貢献が高く評価されたものです。
一口に「芸術文化を育てる」といっても、そう簡単にいくわけではありません。世田谷美術館は、数多くの先生方のボランティア精神にあふれた支援があって初めて成り立っています。どうかこれからも、末永く美術館の活動を見守り、大活躍をお願いいたします。
現在、来年度の企画展にむけて作品調査を進めています。企画の趣旨にそう作品で国内の美術館で所蔵されているものを、実際に拝見するという作品調査です。ということは、よその美術館の収蔵庫、つまり展示されていない作品がしまってある倉庫へいれていただくという、貴重な体験をさせていただくということなのですね。収蔵庫とは、たいてい恐ろしく大きな金庫のようなもので、えらく分厚い鉄扉にダイヤル式の錠前がついており、ひどく物々しい感じの部屋です。映画で見るような金塊がしまってある部屋・・・といっては言いすぎかもしれませんが。収蔵庫へ入るということは、一種神聖なる空間への立ち入りに近いものがあり、さまざまなお作法があります。
秋雨前線の合間、曇天ながらも涼やかな風の吹くある日のこと、パリより来日中であったオルセー美術館の館長、Serge Lemoine氏と、広報部長、Nicole Richy氏のお二人が、お忙しいスケジュールを調整して、世田谷美術館をお訪ねくださいました。昨年の秋に当館で開催した「ルソーの見た夢、ルソーに見る夢」展に関心を持たれたことがご縁となって、今回のご訪問となったようです。
しばしご一緒にお庭を歩いたのち、現在開催中の企画展「福原信三と美術と資生堂」展、および、「夢からの贈り物」と題した収蔵品展をご覧いただきました。偶然にも、この2つの展覧会は古き良き時代のパリと関連の深いものでしたので、とても興味深げに見入っていらっしゃいました。
ところで、そのあとちょっと一息ということになり、お茶を飲みながら、あれこれ美術談義に花を咲かせることになったのですが、話題は世田谷美術館のミュージアム・グッズ、「ルソー・キャンディ」に及びました。何でも、オルセー美術館の所蔵品の場合、そのイメージを食品に使うことは許可していないとのこと、なかなか厳しい方針かと思われたのですが、最後にその「ルソーキャンディ」(金太郎飴)を実際にご覧に入れたところ、何故かとても感動されたご様子にて、お土産にいくつか持ち帰りたいとのこと、思わぬ展開となりました。日本の伝統の金太郎飴、さすがか、という一幕となりました。
世田谷区には、歴史的文化を伝える名所が数多くあります。
分館の宮本三郎記念美術館から程近い奥沢神社も伝統行事を今に残す地域の守り神様として、親しまれています。
奥沢神社といえば「大蛇お練(ねり)」で有名です。毎年秋に藁で大蛇作り、氏子たちが担いで街中を練り歩く行事です。由来は江戸期にまで遡り、村に流行った疫病を鎮めるために始めたのがきっかけだそうです。
この独特な地域の伝統文化を子どもたちにも知ってもらおうと、当分館では4年前から大蛇お練をテーマにしたワークショップを開催してきました。神社で宮司さんのお話を伺ったり、実際に大蛇を作る現場を見学したり、神社のご協力を頂いて、新しい発見のあるプログラムを行ってきました。
さて、今年は絵本作家のスズキコージ氏をゲストに、ダンボールと絵具で大蛇を作りました。スズキさんが大蛇の顔をつくり、20組の親子は胴体を担当。みなさん夢中になって、色とりどりの長い大蛇ができました。出来上がった大蛇は、担いで神社までパレードしてご近所の方にお披露目しました。
この力作は、現在美術館で大蛇お練まで展示しております。今年の奥沢神社の大蛇お練も間もなくです。(今年は、9月8日) 毎年、宮本三郎記念美術館の前も大蛇がお練りますので、どうぞお楽しみください。
以前このブログでも紹介しました「北大路魯山人 ― 世田谷美術館所蔵塩田コレクション」展。
岡山県の笠岡市立竹喬美術館での展示が明日終了し、次の会場は福岡県の田川市美術館(9月8日~10月21日)です。で、来週その展示作業の立会いに行ってきます。田川市美術館の学芸員の方が、展示プランをきちんと作ってくれているので、きっと作業はスムーズにいくでしょう。そしてこの出張にあわせて、来年度の展覧会の調査もしてくるので、充実の一週間になりそうです。
田川市美術館の次は最後の会場となる埼玉県の川越市立美術館・川越市立博物館です。
「器たち」の長い旅はまだまだ続きます。
(写真は笠岡市立竹喬美術館での展示風景)
「いや~暑い! こう毎日暑いと・・・」なんて書き出しを考えていたのですが、今日は夏も夏休み!とっても感じですごしやすい気候になっています。 ということは、絶好の美術館びよりってことですよね。 「青山二郎の眼」展も今日(18日)と明日(19日)の2日間だけになってしまったので、このチャンスにぜひぜひ世田谷美術館に遊びに来てください。
さて、皆さんが美術館に足を運んでくれるというお約束も済んだ(!?)ところで、お知らせがあります。
世田谷美術館は、向井潤吉さん、清川泰次さん、宮本三郎さんの作品を展示する分館を、それぞれ弦巻、成城、奥沢で運営しています。 今回はそのうちの「清川泰次記念ギャラリー」でアルバイトさんを募集します。
今年は暑い。とにかくやたら暑い日がつづいています。
こんなときはフラリと美術館へでも行って、適度に涼しいギャラリーのなかで、優れた美術品とゆっくり向き合う。これぞ身も心もキリリと引き締まる、最高の消夏法だとは思いませんか。
美術館にはどこでも、そんなお客様をお迎えする取って置きのスポットがあるもの。世田谷美術館でいえば、企画展(「青山二郎の眼」展)の出口に備えられた洒落たソファがそれに当たります。小さくてあまり目立たないけれど、何を隠そうソットサスでもハンス・ウェブナーでもなく、わが国を代表する家具デザイナー・長大作が手がけた「ペーラゴチェア」。去年の「クリエイターズ」展にも並べられた、波型の背が印象的な逸品です。
ここに座ってしばし休憩していただくと、記録破りの猛暑も何のその。ふたたびやる気が沸いてくるから不思議です。
8月8日、教育関係者むけ講座「ミュージアム・セッション」で行うレクチャー「手でみる美術のはなし」の講師、イタリア・トリノ大学教授のファビオ・レヴィさんと打ち合わせをしました。レヴィさんは20年にわたり、視覚障害者が美術作品を見るための方法や教材について研究してきた方ですが、その結果、目が見えない人だけでなく、見える人も新鮮な視点から美術を学べるクリエイティヴな本を数多く世に問うています。写真はレヴィさんの名刺(葉書大、アルファベット&点字併記)にあるロゴ、“世界を見る手”。かわいらしく暖かい太陽のようでもあり、レヴィさんの活動のイメージが伝わってきます。
馬事公苑で毎夏おこなわれている世田谷区民祭をご存知ですか? 世田谷は地方から出てきた住人も多いとのことで、各地の出店が名産品を売ったり、これまた各地の神輿や踊りや音楽などで盛り上がる大規模なお祭です。各地の地ビール飲み比べ、美味しいものの食べ比べは、堪えられませんね。今年は8月4日、5日の開催です。
さて、その区民祭ですが、美術館が毎年出店していること、あまり知られていないようですね。商店街の出店の先にある「暮らしの情報」というコーナーで、「せたがや文化財団」として世田谷文学館や世田谷パブリックシアターと一緒にスペースを構えています。ゲームをしたり、ミュージアムグッズを売ったりしていますが、ここだけの話し、ゲームの景品は結構大盤振る舞いですよ! 区民祭にいらした際は、ぜひお立ち寄りください。
また、4日土曜日16時~18時は、大人から子供まで楽しめる「指名手配」というゲームをおこないます。区民祭会場からアンリ・ルソー、青山二郎、ガラスの仮面の北島マヤに扮した人を探しだす趣向です。見事、3人見つけ出した人には、なんと!世田谷美術館オリジナル「ルソーキャンディ」と開催中の「青山二郎展」のチケット、世田谷文学館で開催中の「ガラスの仮面展」のチケット、更に世田谷美術館で9月2日までの土日に開催している「100円ワークショップ参加券」をもれなく差し上げます!
参加ご希望の方は、4日15時以降に区民祭会場「せたがや文化財団」のスペースを訪ね、「指名手配専用台紙」を受け取ってください。先着100名様です。お待ちしております。
この数年のあいだに、さまざまな図書館所蔵の資料が、驚くほど簡便にNET上で検索できるようになりましたね。美術関係の図書資料についても同様にて、その進歩は大変目覚しく、わたくしたちが調査の仕事をしていくうえでも、とても助かっています。「美術図書館横断検索」のシステムも、日々拡充され、従来の近美、現美、横浜の3館に加え、新国、東博、西美や写美、江戸博も加わり、さらには全国各地の大学図書館・約1000館の検索システムWebcatも合体しました。10年前には想像だにできなかったことにて、まさに隔世の感があります。
美術館での多々ある仕事の傍らに、様々な方々からの疑問にお答えする、というものがあります。「昔やった展覧会の図録はまだ扱っていますか?」というものから、「○○の作品≪△△≫はいつ展示されますか?」「私の持ってる油彩画が真作か知りたいんですが」というものまで、果ては「椿の絵を描いてる世田谷在住の作家って誰でしたっけ?」という難題まで本当に様々。そんな中、つい先日外国の方から一本の問い合わせが入りました。
美術館の収蔵庫で作業なんていうと学芸員ぽいですか。
整理してきれいに収めていても、数が多かったり、展覧会ごとに少しずつ移動したりと、チェックは欠かせません。
そんななか、恩地孝四郎に師事し、長谷川潔らと日本版画協会を設立し、世田谷に長く住まわれた稲垣知雄の作品の整理をしています。戦後は猫をモチーフにした作品が多く、収蔵品展で見て覚えている方も多いでしょう。戦前は猫とはずいぶん雰囲気の違う風景や植物の版画が多く、あらためてじっくり見て…、しかし、じっくり見ていると作業が進まないので、てきぱきと確認して、また保存用の箱に収めていくのでした。ほぼ肉体労働です。それでも空調が管理された収蔵庫は快適で、静かで、仕事がはかどり、この作品たちの出番を考えなければと、ひそかに想うのでした。
先日8日に、世田谷美術館友の会第36回美術館めぐり(日帰り)にバス2台約75人の皆さんで、爽やかな初夏の風の伊豆高原へ出掛けてきました。
お天気にも恵まれて、池田20世紀美術館、伊豆一碧湖美術館、ブライアン・ワイルドスミス美術館を見学してきました。
伊豆一碧湖けやき通りに彫刻家井上武吉氏の設計で建てられた、池田20世紀美術館。20世紀に制作された絵画・彫刻で「人間」をテーマにするものを中心に約1300点収蔵されています。
ジャン・ピエール・カシニョールの絵画が常設展示されていた、伊豆一碧湖美術館。湖を眺めながらのソフトクリームは格別でした。
ブライアン・ワイルドスミス美術館ではマザーグースの挿絵で知られるブライアン・ワイルドスミス氏の原画と絵本に囲まれメルヘンチックな時を過ごしました。
途中昼食では、海の幸に舌づつみ!
目にもお腹にも充実した一日でした。
このツアーにご興味をもたれた方は是非世田谷美術館友の会に入会!
お問い合わせは03-3416-0607 までお気軽にどうぞ。
美術館には多くのお約束がありますが、ほとんどは「美術品を守る」ためのものです。触ってはダメ、とかペットや生花や大きな荷物は持ち込めない、など。その中でも飲食厳禁というのは定番のルールだと思うのですが、アメ・ガムは盲点で、これが知られていない。しかし、注意されてせっかくの気分が台無しになったという話しはよく聞くし、わたしもそういう経験があります。悪気のない方にご注意するのは本当に心苦しいし、難しいです。
どこかのブログで(別の美術館でしたが)アメを食べていて注意を受けた方が「美術はそんなに高尚で偉いものなのか!」と憤慨していた話を読みました。そうではないのです。美術品は「偉い」わけではなくて、「弱い」のです。
たとえば、ルーヴル美術館に行けば、わたしたちは約500年前の作品である「モナリザ」を見ることができます。それって、500年もの間、作品を取り巻く全ての人が、ずっと大切に、大切にしてきたからですよね。すごいことだと思います。
アメひとつでも、美術品を損なう可能性があるのは本当です。美術品かお客様の気持ちか?美術館にはどちらも大切なのです。何卒、ご理解とご協力、ご容赦をいただけると嬉しいです。
3つの分館をもつ世田谷美術館。あらためて考えてみるとこれはなかなかにすごい(?)こと。全国の美術館、とりわけ区立クラスとしては他に類を見ませんし、三分館すべてが、作家が住んでいたアトリエの跡に建っており、それぞれに特色ある美術館なんです。
ところで先日、自宅でネットを見ていて「美術館 分館」で検索してみたところ(一体、どれだけ暇だったんでしょうね…)世田美の三分館がどれも上位にカウントされていて驚きました。なかでも講座室を備え、大人から子どもまで楽しめるワークショップやコンサートなど、幅広い講座を実施している宮本三郎記念美術館は、活動記録が頻繁に更新されているためかランクのトップに出てくることも!
分館の向井潤吉アトリエ館は、今新緑の目映い清清しい木立が出迎えてくれます。
ささやかな竹薮には、たけのこがひょっこり頭を出し、けやきや柿の木が青々と繁り、爽快な風を運んでくれます。
この連休は、各地から大勢のお客様にお越しいただきました。街の喧騒から離れ、静かな一時をお過ごしいただけたようです。そして今年も、向井潤吉が旅先で入手したとされる、民芸調のこいのぼりを展示室に掲げました。赤、緑、黄色と鮮やかに彩られたこいのぼりは、素朴な風合いで木造の展示室にもほどよく馴染み、端午の節句の演出に一役かって、お客様にも好評でした。
大型連休も今日で終わりですが、皆様如何お過ごしでしたでしょうか。近頃さまざまな方面の知人から「美術館ブームですね」などと言うお言葉を頂き、都心の美術館もこの連休中に空前の賑わいを見せていたようです。確かに目を引く美術館の開館が続いてはいますが、元来“美術”は単なる“流行”とは無縁のはず。そこに“動向”や“潮流”はあれど、消費だけではない、歴史を繋ぐ何かが不可欠なはずです。こうした世間の関心が単なる熱病に終わらず、そのまま地に足の着いた知的関心として定着すれば素敵なのですが。
雑誌で特集を組まれるばかりでなく、最近はお茶のCMにも登場?している北大路魯山人。世田谷美術館に何度か来たことがある方は、北大路魯山人の作品を多数収蔵していることもご存知ではないでしょうか。
塩田コレクションといいまして、北大路魯山人と親交があった塩田岩治さんがお持ちだった作品を、“100点以上も”ご夫人の塩田サキさんが、ご寄贈くださったものなのです。すごい。
収蔵品展、企画展で何度も展示しておりますが、この度、このコレクションが日本縦断の旅に出ることになりました。
その名もずばり
「北大路魯山人―世田谷美術館所蔵塩田コレクション」展
です。
会場と会期は
瀬戸市美術館 2007年6月2日-7月8日
笠岡市立竹喬美術館 2007年7月21日-8月26日
田川市美術館 2007年9月8日-10月21日
川越市立美術館・川越市立博物館 2007年11月3日-12月16日
です。
お近くにお住まいの方はぜひ、お遠くにお住まいの方もぜひぜひ、ご高覧いただけますようお願いいたします。
昨年の秋、大ブレイクした「ルソーの見た夢、ルソーに見る夢」展。大混雑でおいでいただいた皆様には大変ご不便をおかけしました。この展覧会は、今、最終会場となる松江の島根県立美術館で開催されています(5月6日まで)。
先日ルソーをめぐる日本人作家をテーマとしたシンポジウムが開かれ、美術館まで行ってきました。島根県美は、松江の中心にありながら、宍道湖を目の前にしたすばらしいロケーションで、日没によって閉館時間がずれていく、というまさに自然と一体となった美術館です。松江というところは、小さいながら、お城を中心に堀割や河川が街を縦横にめぐって、まさに水の都なのですね。武家屋敷に構えられたお店で割子そばをおいしくいただきながら、歴史と文化はやはり豊かな自然に支えられてこそ、と実感しました。
さて、肝心のルソーの夢展ですが、