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2月21日から始まる「東宝スタジオ展」のチラシやポスターをすでに眼にされた方もいらっしゃると思います。チラシやポスターなどでメインビジュアルとして使用している写真の海原に見える部分は、かつて東宝スタジオにあった特殊撮影用の大プールです。ここでは、戦争映画や怪獣映画など、いわゆる特撮作品が数多くがつくられました。建設当時、世界最大の規模を誇り、まさにそれは、東宝スタジオを代表する施設でした。
ですからこの写真では一見、海原に接する空が、画面いっぱいに広がっているように見えますが、中央を横切るホリゾントの手すりから下は、映画セットの背景師が描いた空と雲なのです。
「東宝スタジオ展」では、いろいろなクリエイターたちの仕事に焦点をあて、いかにして映画がつくられていくのかを、監督の絵コンテ、映画美術家によるセットのデザイン画、衣裳デザイナーや特殊美術のデザインなど多数の資料でご紹介しています。
そして、なんと映画セットさながらの背景画も会場に出現させました。
その背景画を描いたのは、現在、雲を描かせたら右に出るものはいないといわれる、背景師の島倉二千六(ふちむ)さんです。島倉さんは、まさに日本映画黄金期の1950年代後半から現在まで、「ゴジラ」シリーズの映画の背景画などを描き続けている方です。
島倉さんに、美術館へいらしていただき、水色に塗った会場の壁に、直接、雲を描いていただきました。壁が凹凸のあるクロス地だったので、島倉さん今回は筆ではなく、エアー・ブラシを使って、白い雲を描きはじめました。まるで湧き上がるかの如く次々と雲が現れ、そこに影とハイライトが加わると、壁を突き抜け、本当の青空がそこに広がっているかのような錯覚におちいります。是非、実際の会場でとくとご覧ください。
なお、島倉さんは、3月7日(土)に本展の関連企画の映画講座で、三池敏夫さん(特撮美術監督)と一緒に、特撮美術についてお話しくださいます。。詳細はこちら 是非ご参加ください。