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6月28日(日)より「ボストン美術館 華麗なるジャポニスム」展が始まりました。
オープン前日の報道内覧会では、今回の注目作品クロード・モネ作《ラ・ジャポネーズ(着物をまとうカミーユ・モネ)》(1876年制作)を一年以上かけて修復を行ったボストン美術館 西洋絵画修復室の修復師アイリーン・コネファル氏が、作品を前に、今回の修復の要点を解説くださいました。(詳しい内容は展覧会初日の講演会でお話しいただきました。)
今回の修復の目的はふたつ。一つは、着物に使われている赤い色の絵具のところどころに亀裂(きれつ)が生じていたため、絵の具が剥離(はくり)しないように補強を行ったこと。亀裂の原因は、使われた絵の具に澱粉が含まれていて、絵の具の組織が弱くなってしまったためと考えられています。そして、ふたつめは、作品の見た目を損なう原因となっている古いワニスや付着物を取り除くことでした。《ラ・ジャポネーズ》は、1972年にも大規模な修復が行われましたが、この時に施されたワニスが黄色く変色するなど、本来の作品の鑑賞に弊害が出たため、今回の修復でこの古いワニスを取り除きクリーニングすることになったのです。
アイリーン氏は、額装すると約3メートル近くもあるこの巨大な作品から、小さな綿棒の先を使い、時には、綿棒よりも更に細い刷毛によって古いワニスを慎重に除去する、気が遠くなるような作業を繰り返し行ったといいます。この地道な作業によって、見事、本来の美しい色彩はもちろん、モネの筆のタッチまでもが蘇えることになりました。本来の輝きを取り戻した《ラ・ジャポネーズ》、是非ご堪能ください。
なお、修復の詳細については、展覧会会場の映像や、公式ホームページ、カタログなどでもご紹介しています。