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先日、遅めの夏休みをいただき、長野の方へ行ってきました。
中山道の宿場町、昔の景観を今に残すその街はおどろくほど夜の訪れが早く、夕方5時をすぎると人の姿を見かけません。
山を越えなければ次の街には行けず、電車も2時間に1本。
6時に夕飯を済ませたら、あとはひたすら静けさに耳を傾けるのみです。
そんな贅沢な時間を過ごしたあと東京に戻ってみると、
こちらも秋の気配とともに少しずつ夜が長くなっているようです。
みなさんはこんな秋の夜長に何をしてすごしますか?
本を読む。映画をみる。コーヒーを豆から挽いて淹れる。
世界地図で空想旅行をする。ゆっくりとお酒をのむ。
ジャムを煮る。編み物をする。手紙を書く…。
それでもまだまだ夜が続いたら、おすすめしたいのはぬりえです。
宮本三郎記念美術館で販売している書籍のなかに
『ぬりえ』という一冊があります。
1951年に暮しの手帖社から刊行された本の復刻版で、
当時の人気画家たちがこの本のために描き下ろした作品に、
ぬりえができるという画期的な本です。
小磯良平や三岸節子、鈴木信太郎、そしてもちろん宮本三郎。
総勢10名の画家の作品に思い思いの色をつけられます。
この本の面白いところは、それぞれの画家が
お手本の塗り方とアドバイスのコメントを載せているところで、
好きなように塗ればいい! というおおらかな画家もいれば、
細部にわたり指示が書いてある繊細な画家もいます。
ぬりえの本なのに、画家の人柄まで見えてしまうのです。
気になる宮本三郎の作品とアドバイスは、
実際にみていただきたいのでここには書きません。
ひとつ言えるとすれば、宮本三郎という人は、
作品に対しても、それをとりまく人に対しても
常に誠実だったのだろうということです。
秋の夜長に画家との対話も素敵だと思いませんか?