Ars cum natura ad salutem conspirat

「トゥロンプ ルイユだね。」


ある公募展の審査の際に、

宮本三郎がさりげなくつぶやいた言葉、

「トゥロンプ ルイユだね。」

トゥロンプ ルイユ。

フランス語で、「だまし絵」や「眼をだます」という意味をもち、

たいてい“トロンプ・ルイユ”と表記されるようなのですが、

宮本三郎がこのように発音したのでしょう、

資料にそう書き残されていました(*)。

見せかけの美を見抜いた、鋭く重いひとことです。


初めて知った言葉ですし、その意味も面白い。

意外にいろんな場面でも使えそう。

何よりも言葉の響きが気に入ったので、

どこかで使ってみたいのですが、なかなか機会が見つかりません。


しかしよくよく考えてみれば、使えないのも当然のこと。

努力を積み重ねた画家・宮本三郎が発したからこそ

説得力のあるひとことなのです。

「どこかで言ってみたい」なんて思っている時点で、

薄っぺらで格好つけ、まったく見せかけなのでした。

ここに、深く反省します…


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まずは、おひとつ。

 「芸術というものは一つの告白であり、

  それは告白するつもりでする告白ではなく

  むしろ無意識の告白といってもよいものである。(宮本三郎)」

ステキです!宮本三郎!

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*大島清次「改めて「宮本三郎」」

(『よみがえる―宮本三郎 はぐくまれた華麗な世界』、世田谷美術館、1999年)


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