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「会期中、展示替えを行います」
展覧会のチラシや目録でこのような文章を読んだことのある方は多いのではないでしょうか。
保護や、かぎられた会期でより多くの作品をご覧いただくため、展覧会では会期中作品の展示替えを行うことが少なくありません。訪れた展覧会で、「見たかった作品の展示期間が終わっていた!」という苦い経験をお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。場合によっては、作品が会期によって総入れ替えということも。
現在世田谷美術館分館の宮本三郎記念美術館で開催中の「荒木経惟―人・街―」展でも、展示替えを行っています。1月9日(月・祝)までがⅠ期、1月14日(土)から3月20日(火・祝)までがⅡ期で、作品が総入れ替えするパターンです。そしてこれに加え、各会期でページ替えを行っています。
ページ替え?と思われるかもしれませんね。実は展示しているいくつかの作品が、スクラップ・ブックの形態なのです。貼られているのは荒木経惟が自身でプリントした写真ですから、それは言うならば私家版写真集。1960年代、荒木が当時勤めていた電通の設備を使い、作っていたものです。
貴重な作品のためアクリルケースで保護していますから、お客様には収録されているすべての写真を一度にご覧いただくことができません。会場ではディスプレイを用い、すべての写真をスライドショーで流しているとはいえ、しかしそれではあまりにもったいない。縦57センチ、横45センチのスクラップ・ブックは、広げると1メートル近くになります。そこに貼りつけられた写真の迫力といったら!
ですから、本展では約3週間に1回、ページ替えをしています。そのたびにページを繰り、次はどのページをお客様にご覧いただこうかと考えながら。そのひとときは、担当者冥利に尽きる、とても幸せな時間でもあります。
ぜひ、一度展覧会にお越しになられた方も、次はどの場面だろうかと、ページ替え毎に足をお運びいただければ嬉しく思います。