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インターン実習 2 (インターン生、授業で扱う本物の作品に出会う 編)


世田谷美術館を代表する収蔵作品のひとつは「素朴派」です。

現在、市川市芳澤ガーデンギャラリーにて、世田谷美術館コレクション展「アンリ・ルソーと素朴な画家たち」(7月23日(土)~9月19日(月・祝))という展覧会が開催されています。

小学校へインターン生が出向いて行う出張授業は、その展示されている作品から考案します。(前回のセタビブログ2011.7.15.をご覧下さい。)


展覧会初日に、インターン生の皆さんと一緒に展覧会を観に行ってきました。

午後1時だったので、陽の高く上る時間帯…、と覚悟していましたが、涼しい風が吹く過ごしやすい午後でした。

緑の庭に囲まれたそのギャラリーには、植物のカーテンを通してやわらかな自然光が入ってきていました。


インターン生たちにとっては初めての本物の作品との出会いの日でしたので、各自のペースでゆっくり、そしてじっくりみてもらうことにしました。

こじんまりとした展示室は2部屋に区切られており、39点の作品が、小学生でも観やすい高さで、心地よい間隔をあけながら展示されていました。40分ほどたった後、い草の香りいっぱいの和室をお借りして、作品を観た感想を聞くことにしました。


「本物の作品をみてどうでしたか?」

少し沈黙があってから、

「大きさ、色、絵具の影など、カラーコピーとは違うところがたくさんありました。」

こう話始めたのはいつも積極的に発言をするYさんでした。

彼女の感想に皆、何度もうなずいて、その後、少し気まずい様子で下を向いてしました。

今まで資料や図版のコピーでしか接していなかった作品からの威力に衝撃を受けたのかもしれません。本物の作品の魅力を自分は伝えられるのだろうか…そういった不安気な空気が漂っていました。


率直な意見を皆に聞いた後、もう一度展示室に行くことにしました。


各自、気になる作品の前で(小声で)どこに惹かれたのかを話してもらいました。

しばらくすると、インターン生の目や口元に笑顔が戻り、作品自体を楽しみながら観察するようになりました。


「≪活気のある風景≫(カミーユ・ボンボワ作)という題名だけど、どこに活気があるのだろう…。」

一人の疑問に、周りを囲んだインターン生が絵をもう一度じっくりと観察し始めます。

「真中辺りがお祭りムードじゃない?」

「光があたってるし、木がサワサワしているよ。」


この作者は本当は何を描きたかったのでしょうか…。疑問をもって話をしたH君の表情はまだ納得がいかない様子でした。



よく観察して、よく勉強すること、そうすることで少しずつ、作品に近づいていくことができるようになります。


この日、インターン生は本物の作品に、観て触れたことで、充実した満足気な表情をしてギャラリーを後にしました。


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