Ars cum natura ad salutem conspirat

カンバッヂというアート


夏休みがやってきました。


小さい頃、

一ヶ月半のお休みはまるで永遠のように感じられました。

その高揚感と無限の想像力を小さな胸に秘めて、

7月の夜はいつもうまく眠れなかったように思います。

そんな郷愁とともにむかえた夏休み最初の週末、宮本三郎記念美術館のすぐ近くで心躍るお祭りが開催されました。

毎年恒例のこのイベントはすいか割り体験のあと、割ったすいかをまるごともらえるという夢のようなお祭りです。

その名も「フェスタ DE すいかわり」!!

そのメインイベントを囲むように、かき氷ややきそばの屋台、射的などのゲームのお店が立ち並びます。

宮本三郎記念美術館も毎年このお祭りに参加させていただき、ワークショップをやっています。

今年はカンバッヂを作るワークショップを開催しました。


まるい紙に好きな絵を描いて、フィルムをのせてカンバッヂメーカに入れると。。。

世界でたった一つのオリジナルカンバッヂができるのです!

カンバッヂができる工程はとても楽しいので、

ひとつ出来上がるともうひとつ、またひとつ、こどもたちは夢中で絵を描きだします。

とても不思議なことですが、

カンバッヂのかたちになると、どの子の絵もみんなアーティスティックに見えるのです。

絵が、息を吹き込まれてしゃんと背筋を伸ばすように、作品であることを自覚するように、輝き始めるのです。

できあがったカンバッヂをうけとるこどもたちの顔はみんな笑顔で、はじめはこっそり隠しながら絵を描いていた子も、帰るときにはTシャツにカンバッヂを光らせてにこにこしているのです。


額は絵画作品にとってなくてはならないパートナーです。

こどもたちが描いた絵をカンバッヂとして仕上げることは、

額装する作業に少し似ているかもしれない…と思いました。


高名な人の手から生まれたものも、ちいさなこどもたちの手から生まれたものも、作品として敬意を払い、慈しむ。

その価値は、同じようにははかれなくても大切なものにかわりはないはずです。


この夏休み、ちいさなアーティストたちから発信される作品に、

たくさんのことを学ばせてもらいたい。

そんな気持ちになった一日でした。


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