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「宮本三郎といえば、裸婦の作品」
という声を、お客様からお聞きすることがあります。
現在、宮本三郎記念美術館で開催中の「アフリカの貌」展でも
展示室の一角に小さなコーナーを設けており
宮本三郎の晩年にあたる1970年前後の、
裸婦が題材になった作品を中心に
《ヴィーナスの粧い》(1971年)、《假眠》(1974年)
などをご覧いただけます。
展示点数は多くはありませんが、ご好評をいただいております。
一方で
「宮本三郎といえば、従軍時代の作品」
という声を、お聞きすることもあります。
残念ながら
今会期中、戦争が題材になった作品の展示はありませんが
以前、小学生の女の子が
戦中の兵士が描かれた宮本三郎作品を見ていた時に
ぽつりとつぶやいたのでした。
「はやく次の絵を見たい…」
時に過剰とさえ思われるほど
映像を伴った詳細な情報が大量に発信される、今の世の中。
美しくあたたかな一日も、
残酷でやるせない世界の姿も、
次々と、私たちの脳裏に刻み込まれてゆきます。
このような現代にありながら
小学生に、ただ一場面で「戦争」を伝えた宮本三郎作品の強さを
私自身が、あらためて感じ入った出来事でした。
その「次の絵」に、きっとつながっています…
ぜひ、本展で
宮本三郎の晩年の作品をご鑑賞ください。