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向井潤吉アトリエ館で受付に座っていると、お客さまからよく声がかかります。
「この絵、私の故郷なんですよ。」
そして故郷の町や村、描かれた山のことなど語るうちに、当時の記憶がよみがえるのか、気づいたら一代記になっていることも。その絵が絵葉書や額絵になっていると嬉しそうにお持ちになります。
私も展示中の桑原甲子雄の写真を見て同じような気持ちになりました。
幼少時近くにあった路地にそっくりの写真があったのです。それは世田谷区太子堂で撮影されたものでした。場所は違えど当時を思い出しました。
向井潤吉が描いた民家を見に行くのはたやすくないけれど、桑原甲子雄が昭和50年頃撮った路地は、今も世田谷に息づいています。お天気のいい夕方にぶらりと訪れてみようかなと思っています。
と同時に展示室に違和感も。
例えば土蔵展示室の奥。昭和11年、23歳の桑原が撮影した「世田谷ボロ市」風景の写真が壁をとり囲んでいます。
そば屋台にはそばをすするご夫婦。着物をお召しで中折れ帽がおしゃれです。箸を手にだんなさまは何を沈思黙考しているのでしょうか。
また、古物商のおやじさま。煙草くわえて丸くなる背中が渋いです。ボロ市と言えば冬。お茶の入った急須を両手で抱え、暖をとっているのかな…など、映る人々が何を考え何をしているのかが妙に気になるのです。これは向井潤吉の代表作と言われる民家の絵では、あまり感じたことのない体験です。
7月から来年3月末まで世田谷美術館が休館するのにあわせ、4月から向井潤吉の絵画と共に、世田谷美術館の所蔵品を一部展示しています。
桑原甲子雄の写真は、6月26日(日)まで展示中。展示替え後の7月2日(土)からは、同じく写真家・師岡宏次の作品が展示されます。いつもとは異なる趣向の展覧会をお楽しみいただければ幸いです。
7月にはアトリエ館では恒例の七夕のお飾りをいたします。ぜひ短冊にお願いごとを書いて飾って下さいね。
詳しくは向井潤吉アトリエ館HP (http://www.mukaijunkichi-annex.jp/main_j/index.htm)で。