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アーカイブ:2011年04月
「白洲正子がこよなく愛した近江の魅力」
ゲスト:髙梨純次氏(滋賀県立近代美術館学芸課長)
ナビゲータ/ナレーション:村上由美(当館学芸員)
生誕100年特別展 世田谷美術館開館25周年記念「白洲正子 神と仏、自然への祈り」に関連して、白洲正子が幾度も旅で訪れた近江の仏像や神像の魅力について、展覧会をご一緒した滋賀県立近代美術館の学芸課長の髙梨純次さんにお話しを伺います。
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尻尾の先をチョンと上げ、人懐っこいつぶらな瞳でこちらを見つめる愛らしい仔犬。
随筆家・白洲正子が各地のお寺や神社を訪れ、眼にした仏像や神像などを、その著書の文章とともにご紹介している生誕100年特別展「白洲正子 神と仏、自然への祈り」の出品物のなかでも、ひときわ可愛らしい存在として、来館者の人気を集めています。
この仔犬の像、重要文化財《狗児》(京都・高山寺 鎌倉時代)は、高山寺の開祖・明恵上人が、運慶の嫡男・湛慶につくらせたものといわれています。
高山寺は鳥獣戯画を所蔵していることで有名ですが、明恵上人は、鳥や栗鼠が梢を行き交う岩山の木の上で座禅を組み、19歳から約40年にわたって、自分が見た夢を記録した「夢記」などで知られる高僧です。明恵上人がどんな風貌の方であったかは、国宝《明恵上人樹上座禅像》(京都・高山寺 鎌倉時代)が今に伝えます。
ただし、こちらは、4月24日(日)までの展示となっていますので、どうぞお見逃しなく。
砧公園の桜も満開で、本日は大勢の方が生誕100年記念特別展「白洲正子 神と仏、自然への祈り」へいらしてくださっています。
随筆家・白洲正子が旅し、眼にした仏像や神像など寺社の名宝を集め、ご紹介しているこの展覧会、少々残念なのは、デリケートな文化財が多く、作品保全のため展示期間が限られているものがあることです。
金剛寺(大阪)の重要文化財《日月山水図屏風》(室町時代・16世紀)も、本日で展示が終了します。
白洲正子がその著書『私の古寺巡礼』で「日本の風景画は、自然を拝むことから発達したが、拝む心を持たないものに、このように崇高な景色は描けなかったに違いない。」と絶賛した屏風です。
なお、この屏風は5月5日と11月3日、金剛寺(大阪)でご覧いただけます。