Ars cum natura ad salutem conspirat

白洲正子も感動した雪の那智


熊野那智大社の方との待ち合わせの時間より30分早い、8時30分。

前日は日本各地で雪が降り、南紀でも珍しく雪が積もりました。

観光バスが一台も停まっていない、がらんとした静かな駐車場にトラックを止め、寒風が吹く参道を少し登っていくと、現れました!那智の瀧が!。

山の南斜面に位置する那智の滝は、陽の光を正面から受け止め、前日の積もった白い雪の光の反射で、一層、神々しく輝いていました。

白洲正子は何度も那智の瀧を訪れています。

「雪の那智の瀧が、こんな風に見えるとは想像もしなかった。雲とも霞ともつかぬものが、川下の方から登って行き、瀧の中に吸い込まれるかと思うと、また湧き起る。湧き起っては、忽ち消えて行く。それは正しく飛龍の昇天する姿であった。梢にたゆたう雲烟は、空と山とをわかちがたくし、瀧は天から真一文字に落ちてくる。熊野は那智に極まると、私は思った。」(「熊野詣」『十一面観音巡礼』)


熊野那智大社には、瀧を御神体として信仰してきた人々の参詣の様子を表した『那智参詣曼荼羅図』(16~17世紀)が所蔵されています。3月19日から始まる生誕100年特別展「白洲正子 神と仏、自然への祈り」では、この曼荼羅を拝借し、展示します。(展示会期:3月19日~4月17日)。白洲正子の足跡をなぞるように各地を訪ね、白洲正子が目にした寺社の名宝をひとつ、ひとつ集めた展覧会です。この機会を是非お見逃しなく!


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