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青く澄みわたる空に白い入道雲が浮かび、
覆い茂る樹木、
その中に潜む蝉たち。
千も万もの音となり、一粒の水が滝となるがごとく
空間を埋め尽くす生命の叫び。
自然あふれる三重の夏は、今年特に熱いです。
彫刻家・橋本平八(1897-1935)は、幻想的な世界を生み出す木彫家として知られていますが、彼の弟さんのことはご存知でしょうか?
大正から昭和にかけてアヴァンギャルドな詩を発表し、のちに斬新な装幀も手掛けるようになった北園克衛(1902-1978、本名:橋本健吉)は、平八の実の弟でした。
一見、全く異なる分野で制作活動を行いながらも、密かにお互い刺激し合って制作活動を行った兄弟の展覧会が、三重県立美術館で始まりました。
東京より新幹線に乗り、名古屋駅で近鉄線に乗り換え、三重県の津へ。
展覧会開催に際し、オープニングが行われ、橋本平八の親族、北園克衛の研究家のジョン・ソルト氏がご出席されていました。また、三重県立美術館では、平八にシンパシーを抱いた彫刻家・戸谷成雄さんの特別展示も行われております。
この展覧会は、世田谷美術館と三重県立美術館と協働で準備した展覧会で、10月23日より世田谷美術館で開催されます。橋本平八の《花園に遊ぶ天女》は、三重県立美術館のみ、また《或る日の少女》と《裸形少年像》は世田谷美術館のみで公開です。
青い空と、樹々と、蝉の声
2人の兄弟も三重の地でその空気を吸い、香りを利き、三重の大空を眺めて芸術活動へ情熱を注いだことでしょう。三重の自然の豊かさを目の当たりにし、芸術へ心血を注いだ二人の兄弟の姿をうっすらと感じることができた旅でした。
写真:橋本平八(右)と北園克衛(左)、1925年頃