Ars cum natura ad salutem conspirat

桜に映える野外彫刻


風そよぐさわやかな季節となり、砧公園の桜も間もなく見頃を迎えます。公園の木々も新芽が吹き出し、園内も鮮やかな黄緑色に染まりつつあります。桜や新緑を楽しみに砧公園を散策される折りに、園内にある世田谷美術館の周囲に設置された野外彫刻に目を向けてはいかがでしょうか。美術館の周囲にはどなたでもご覧頂ける野外彫刻が数多く設置されています。

特徴としては、アンソニー・カロが舟の廃材から制作した現代彫刻やバリー・フラナガンの馬の彫刻、昨年新たに加わったトニー・クラッグの蚕の繭を思わせる三葉虫など、イギリスを代表する作家が含まれていることです。

他にも、日本を代表する世田谷の作家の作品も設置されています。柳原義達の重量感のある裸婦像、舟越保武の崇高な女性像、土谷武の開放感のあるイメージを鉄板と石で構成した作品など、具象彫刻から抽象彫刻まで様々な作品が敷地内に十数体あります。

こうした作品をご覧頂いた時に、ずっと外に置かれていて作品は傷まないのかと心配される方もいらっしゃるのではないかと思います。今日はそんな質問にお答えしたいと思います。実は当館では隔年ごとに彫刻のメンテナンスをしています。前回の調査記録を基に作品と台座との固定は大丈夫かどうか、錆は発生していないか、風雨に起因する汚れはどうかなどの確認作業を行います。もしボルトの緩みなどがあれば調整し、錆や汚れが発生していれば、除去作業を慎重に行います。素材にも依りますが、作業の仕上げとしてブロンズなどは発水性を高めるワックスを塗布します。このような地道な作業を続けることで野外彫刻は長期にわたり、良い状態を保つことが出来るのです。

3月中旬に今年度のメンテナンス作業を終えたばかりですので、花見や新緑を愛でに砧公園に遊びに来られた時に、少し足を止めて世田谷美術館の野外彫刻を鑑賞されてはいかがでしょうか。きっと作品との新たな出会いがあるのではないかと思います。


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