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このごろ朝には霜が降りる寒い日が続いていますが、
ついに、先日東京にも今年初めての雪が積もりました。
一夜の銀世界はあっという間に溶けて消えてしまいましたが、
ほんの数センチの雪でも風景がいつもと違って見えるから不思議です。
内井昭蔵展の会期中、開け放たれた展示室の窓からは
刻々と変化する季節を眺めることができます。
作品を紫外線から守り、落ち着いた空間で鑑賞できるように
普段の展覧会で窓を開けることはほとんどありませんが、
今回は建築そのものと同時に、
建築と公園のつながりも見てもらうために、壁を取り去りました。
いつもと違う展示室の中に立ってみると、
壁の向こうに奥行きのある世界が広がっているという
当たり前のことに心が打たれます。
空と地平線、風景を覆う壁、窓にゆれるカーテン、映画館で前に座る人の頭――
私たちが生活しているのは、近くと遠く、上と下にあるものが
重なり合ってできた空間です。
その重なりのあいだを通り抜けて新しい場所に行ったり、
絶対に立ち入ることのできない隔たりに思いを馳せたり…
そんなことを考えながら、周りを見回してみれば、
たとえ雪が降らなくても
世界は少しだけ違ってみえてくることでしょう。
美術や建築と向き合う経験は、そんなきっかけを与えてくれるかもしれません。