Ars cum natura ad salutem conspirat

宮本三郎のサクラ


宮本三郎記念美術館に何度もいらしていただいた方でも

庭をご覧になったという方は

あまりいらっしゃらないかもしれません。


正面から一見すると、無機的なコンクリート造の建物の当館ですが

建物の裏には、小さいながらも

四季折々の彩りを楽しませてくれる庭があります。

さて、その庭の中央には

ずっしりと根をおろした一本のサクラの木があります。

宮本三郎氏のアトリエ兼住居であったこの場所が

美術館として新築された時、

ほとんどにおいて、当時の邸宅の面影は消えてしまいましたが

サクラは、邸宅にあったまま残されたのです。

苔のむした貫禄ある幹を持ち、

この12月の寒空にも屈することはありません。

凛としたその姿は、氏にかわって

強い眼差しで美術館を見守ってくれているかのようです。


今年の冬は

どこからやって来たのか、庭の片隅に一匹のカエルが住みつきました。

サクラの木に守られて

無事に越冬できることを願っています。

来年の春、一緒に満開の花を楽しみたいものです。


皆さまも

ご来館の折には、ぜひ庭を覗いてみてください。


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