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展覧会にいらっしゃった皆様は、貴婦人の部屋でお気づきになられたでしょうか。
ほのかに漂うパウダリーな香りを。
「オルセー美術館展 パリのアール・ヌーヴォー」では、今回、フランスのゲラン社より上品で華麗な香りを展示室内でお届しております。
ゲランの3代目調香師ジャック・ゲランが手がけた「蒼の時」を意味する「ルール ブルー」は、ベル・エポックを代表する香りといえるでしょう。当時の多くの婦人の部屋に飾られたであろう可憐な花々、その中でお化粧をする美しい女性たち。そんな雰囲気を醸し出す手掛かりとして展示室内に甘く、繊細な香りを漂わせてみました。
時間や空間、湿度、温度によって同じ香水でも違った香りに変化するというのは、一般的ですが、実際にアロマディフューザー(香りを拡散するツール)が置かれている展示室から遠ざかるにつれて徐々に変化していくのが感じられます。
香りを嗅ぐと急に昔の記憶を鮮明に思い出したことはありませんか。それを“プルースト効果”というそうです。脳内で記憶や情動、感情をつかさどる部位と嗅覚をつかさどる部位が非常に近いため、香りが記憶を刺激しやすいそうです。
アール・ヌーヴォーの家具、工芸品、装飾品を鑑賞した記憶が、香りと共に皆様の記憶に残ればと思います。