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1901年に生まれた向井潤吉は、
26歳で初渡欧しました。
シベリア鉄道でユーラシア大陸横断の旅でした。
ルーヴル美術館から摸写の許可証を得て、
2年間で21点の作品を仕上げたのです。
「私は約二ヶ年滞在期間に、
旅行とルーヴル美術館の休日を除いて、
毎日十時から十四時迄、手製のサンドヰッチを画架
の前で齧りながら摸写の蟲になった」
(向井潤吉「摸写修行」より)
ルノアール、ドガ、クールベ、ミレー、ドラクロア、
コロー、アングル、レンブラント、ベラスケス、
ルーベンス、エル・グレコ、ベロネーゼ、ティントレット、
ルイーニ、デューラー、ティチアーノ。
古典を中心にルネサンスから印象派まで、
幅広く対象を選び技法を研究しました。
「一見徒労に感じられる苦心の中に
筆者は原作の持つ説明しがたい貴重な価値や、
秘密の技術をあらゆる角度から嗅ぎ分け
学びとる事が出来るのである。」
(向井潤吉「摸写寸話」より)
巨匠のまなざしに重ねあわされた、
若き日の画家の真摯なまなざしには、
青春の夢と希望が感じられます。
世田谷美術館ライブラリー前では、アングル《泉》、
ミレー《裁縫する若き女》、コロー《化粧する若き女》
ルイーニ《聖なる家族》の摸写作品4点のほか、
民家を描いた作品2点を展示しています。
皆さまのご来館をお待ちしています。