Ars cum natura ad salutem conspirat

美術館という業界


美術館は日本全国にいったい何館ぐらいあるのでしょうか?


大きな美術館から小さな美術館、国立や公立から財団や私立の美術館まで、その大きさや運営母体、そして専門分野は、ほんとうに多岐にわたっています。


全国的な実態調査は文部科学省が行っており、3年ごとに調査結果が、ホームページに掲載されています。このホームページで、今みることができるのは、平成17年度の調査結果です。歴史や民俗や水族館、動物園、文学館や美術館などすべてを寄せ集めると、こうした社会教育施設は全国で5600ほどあるようです。


そのなかで、美術系は600館を超えています。1都道府県あたりの数は600館を47で割れば、約13館ということになります。日本の人口1人あたりであるとか、県民1人あたりとか、いろいろと興味深い数字が引き出せそうです。

少し前のことになりますが、5月の中旬、群馬県高崎市で開催された全国美術館会議の総会に参加してきました。


美術館が加盟する団体としては国内最大で、会員総数は348館です。毎年、新規入会、退会と数字は動きますが、この総会はまさに「美術館という業界」をまざまざと実感する場です。北から南まで、大きな美術館からも小さな美術館からも、館長や学芸員が集い、お互いに垣根を外して、2日間にわたっておおいに情報交換に励み、そして連携を深めあう好機でした。


作品保管や展覧会事業にかかわること、美術館の経営にかかわること、館内の清掃やさまざまな物品の整理方法まで、美術館がかかえるさまざまな業務について語り合い、知恵を出し合ってきました。


どんな業界にも、その業界特有の雰囲気というものがありますが、美術館業界にもまた、一種独特の気配のようなものがあります。美術館という仕事場で一日の大半を過ごし、展覧会や、さまざまなイヴェントを企画し実施することに力を注ぐ仲間たちが発する気配は、とても頼もしく感じられました。そうした充実した気配が満ちた中で、私自身もあらためて気持ちを引きしめ、より良き美術館活動に励まねばと強く思った次第です。


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