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白い壁に、作品が点々とならぶ静謐な空間―たぶん、これが一般的な「美術館」イメージだと思います。
確かに、完成してしまった展覧会場は、お行儀のよい顔で静かにお客様をお迎えしますが、その会場をつくっている最中はにぎやかそのもの。ベニヤ板などの資材が山と積まれ、大工さんや経師屋さんがおおぜい入り、トンカチの音が響いてペンキの匂いが充満する、そんな活気あふれる現場なのです。
7月4日から始まる「メキシコ20世紀絵画展」は、今まさに会場づくりの真っ最中。そしてこの会場が、ちょっと変わっています。ふだんは白くて四角い展示空間のあちこちに、高さ4.5メートルもの壁面が、ちょうど迷路をつくるように次々と建てられ、まさに迷宮をさまよう感覚になるしかけ。
しかもその高い壁一面に、今回は赤や緑のペンキが塗られていきます。クラクラするような、ドラマティックな舞台装置にも思えてきます。
この舞台装置のなかに、いよいよ作品が置かれるのは数日後。展覧会オープンまで秒読みです。