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アーカイブ:2007年11月
「吟香(ぎんこう)」、という人物、ご存知でしょうか。一般には広く知られているとはいえないかもしれませんが、実はこの方、岸田劉生のお父様にて、幕末から明治にかけて波乱の人生を歩んだ人、本名は岸田辰太郎(1833-1905)。岡山の山村に生まれながらも学問で身を立てて、江戸に上って藩士となり、また離婁の明をもって次々と新しい事業を興した破格の大人物、歴史的な先覚者でした。
去る10月の末、この吟香の生地である岡山県の山間部、美咲町を訪れました。清々しい秋晴れの日、地元の方に車でお連れいただくこと数時間、辿りついたのは山あいの小さな村落。そこで現在も「岸田」の姓を継いで暮らしておられるご老人にお目にかかりました。村はずれの山の斜面には、苔むした数十の墓石が並ぶ岸田家代々墓所があり(ちなみに吟香以後の墓所は東京・谷中にあります)、そこから眼下を見渡すと、その風景はさながら江戸末期のままのごとく感じられました。
来年2月に世田谷美術館で始まる「イリヤ・カバコフ展」について、普及プログラム担当、広報担当と最初の打合せを行いました。著名現代美術家の個展でありがなら、内容は実にカラフルでどこかなつかしさを感じさせる絵本たちとその原画の展示。すでに、神奈川県立近代美術館・葉山館で立ち上がっており、全員実際の作品をじっくりと見てからの話し合いです。
ここ数年の間に、日本でもすっかりおなじみになってきたハロウィン。
このお祭りにまつわるワークショップを、分館の宮本三郎記念美術館では毎年開催してきましたが、今年度は去る10月28日(日)に開催。みんなでカボチャのランタンづくりに取り組みました。大人も子どもも、大きなカボチャと格闘しながら、最後にはいろいろな顔のランタンが勢ぞろい。それぞれのお家でハロウィンを楽しむ準備となりました。さらに、今年のハロウィンワークショップは特別な“おまけ”つきでした。
先日出張で気仙沼へ行く途次、一度訪ねてみたい宿があったので、一ノ関まで足を伸ばしました。すでに日が暮れてしまった初秋の一ノ関は、かすかに冷気をおびて、宿の明かりを見つけたときには、自然とこころが和らぎました。
この宿と世田谷美術館の分館は、深い関係があるのです。みなさんは、向井潤吉アトリエ館の展示室の一部が、土蔵であることをご存知でしょうか。
「福原信三と美術と資生堂」展が4日に終了し、会場の作品もすべて片付き、今朝から次の「パラオ―ふたつの人生」展の会場施工がはじまりました。
壁を立てなおし、ケースの位置を変えています。さらに、映像を各所で投影する予定なので、その仕掛けを組んでいきます。会場施工ができると、次は作品の展示作業がはじまります。もう間もなくオープンです。
カタログも従来の枠を破った大変な力作なので、ご期待ください。