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2005年8月に亡くなられた日本画家・上野泰郎氏のご遺族から、二度にわたりアトリエに残された作品をご寄贈頂きました。今年度の第3期収蔵品展(12月11日-2008年4月6日)では上野泰郎氏を追悼して、ご寄贈頂いた作品とすでに当館に所蔵されている作品を一堂に並べ、鮮やかな色彩を特徴とする人間讃歌とも呼ぶべき氏の半世紀に及ぶ画業を振り返りたいと思います。
出品作品は50年代の太い線で縁取った人体表現から、60年代の厚塗りのデフォルメされた群像、70年代のイコンや祭壇画形式の作品、80年代の屏風、そして90年代から晩年に到る作品など、ほぼ全画歴を網羅しています。ご寄贈頂いた作品の中には制作した当時に発表しただけで、その後全く公開されていないものもあり、制作後40-50年経過し修復が必要なものも出てきています。
当館では12月の展覧会初日に向けて、裏打ち、画面洗浄、剥落部分への補彩など、現在修復作業に追われています。写真は41年前の《知識人》(200号)という大作の画面洗浄を行っているところです。この作品はこれから二度の裏打ちをしてから、今後本格的な修復作業に入ります。展覧会初日には修復を終え制作当時の雰囲気を取り戻し、代表的な作品などと遜色なく一緒に並ぶことになります。
本展が日本画家・上野泰郎氏の画業を再評価する絶好の機会となれば良いと思っています。