企画展


タイトル

開館10周年記念 デ・ジェンダリズム~回帰する身体

1997年2月8日~3月23日


 

 私がつくろうとしているものは未だかつて誰も見たことのないものであり、名付けることができないもの、あらゆる定義からのがれようとするものなのです。
                     1968年 エヴァ・ヘス

 タイトル、「デ・ジェンダリズム」は、ある人間のアイデンティティを問うとき、まず男か女かを問い、そしてその社会的役割(ジェンダー)というフィルターを通して「その人は何なのか」を判断しようとすることへの疑問から始まっています。もちろん性差だけでなく、多くのイデオロギーや思想が「イズム」を形成し(人種差別主義:レイシズムや社会主義;ソーシャリズムなど)、これらはその人がどういう人間なのかという分類分けをするうえで機能しています。
 20世紀を迎え、近代が築いてきた価値観がゆらぎ、地滑り的にさまざまなイズムの構造が崩壊しつつある今、これらにこだわり続けることへの疑問が今呈示されています。このタイトルは全てのイズムを見直し、これを脱構築することへの呼びかけと、まずあなたを縛る性差の呪縛の見直しからはじめて、存在、身体のありのままの原点に回帰することへの呼びかけ、2つの意味での積極的な21世紀にむけての提案が込められています。
8カ国、15人に及ぶ出品作家たちはいずれも、自身の身体、存在とがあるがままに向き合い、表現を通じて世界との唯一の新たな関係をさぐっていこうと模索してきたアーティストたちです。ある者は主流であるモダニズムへの批判を通じ、ある者は身体への試練を通じて…。地滑り的に崩壊して行くものの中から、次なる形が立ち上がっていくような不安な過程です。ゆえに今、私たちに求められているのは、自分と他者をしっかりと見据え、世界を抱擁する勇気と想像力ではないでしょうか。