企画展


タイトル

伝統と創造−魯山人とゆかりの名陶展

1996年7月27日~9月23日


 

 「やきもの作るんだって、みなコピーさ。なにかしらコピーでないものはないのだ。但し、そのどこを狙うかという狙い所、真似所が肝要なのだ。」   ―北大路魯山人―

 世田谷美術館には、魯山人の窯場に水を引いた縁で、魯山人と親交を結ぶようになった、利根ボーリング社長塩田岩冶氏による、157件に及ぶ魯山人作品のコレクションがあります。本展では、このコレクションからの約100件を核に、古陶磁との関連が明瞭に窺われる魯山人の優品や、とくに高い美意識を示している作品を加えた約200件の魯山人作品と、魯山人が所蔵していた古陶磁28件を含む、長次郎、光悦、仁清、乾山などのゆかりの名陶約60件により、偉才魯山人の器の魅力を、彼が愛した古陶器との繋がりという新しい視点で探ってみようといたしました。
 魯山人は、会員制高級料亭星岡茶寮の開設にあたり、茶寮で用いる食器類の制作を通して陶芸の道に入ったことはよく知られています。陶器制作に手を染めて以来、魯山人は、破片も含めた夥しい数の日本、中国、朝鮮などの古陶器を収集し、自らの作陶に役立てるべく日夜研鑽に励むようになりました。また、魯山人と親交のあった名士たちのもとで目にした数々の名品は、大いに魯山人の審美眼を磨いたことでしょう。さらに、当時かなりの話題を呼んだ、志野や織部などの桃山陶器の古窯の発見・発掘に携わったことも魯山人に大きな影響を与えたに違いありません。それらを通じ、魯山人が得たものとはいったい何だったのでしょうか。
 これは、ひとり魯山人にのみに関わる問題ではなく、「伝統と創造」をめぐる文化および芸術の、より根源的問題を魯山人の作品を通じて考えてみる機会でもあります。