企画展


タイトル

フィレンツェ・ルネサンス 芸術と修復展

1991年9月14日~11月4日


 

 花の都と謳われた中部イタリアのフィレンツェは、人類史上もっとも精彩を放った「ルネサンス」文化を生み育てた都市です。ドナテッロ、ボッティチェリ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、など数多くの美術家がこの町、あるいはこの町の近郊で生まれました。またダンテからマキャヴェリに至る天才たちをはぐくみ、「アルノ河畔の新しいアテネ」とも呼ばれています。のみならず、その後500年もの間、その当時の絵画、彫刻、建築物をはじめ橋梁やメディチ家の紋章を刻みつけた街路などを含め、都市そのものをほとんど完璧な姿で保存し、今日に伝えていることはまさに奇跡といっても過言ではないでしょう。
 作品はウフィツィ美術館、バルジェッロ国立美術館、アカデミア美術館、ピッティ宮殿パラティーナ美術館などフィレンツェを代表する幾多の美術館から出品されます。さらに、これを補足して花の大聖堂(サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂)、サン・ジョヴァンニ洗礼堂、サン・マルコ修道院をはじめとして、トスカーナ州各地の20箇所もの伝統ある教会、聖堂、修道院、邸宅から合計84点の貴重な美術品が集められました。このことはルネサンスがフィレンツェ圏ともいうべき地域的広がりのなかで展開され、守り伝えられてきたという事実を示していると同時に、当時の偉大な文化遺産の多くが今日でもなお信仰の対象として、人々の生活にしっかりと根を下ろしていることを証明するものに外なりません。そのようなフィレンツェの豊かな精神状況を可能にし、また裏側でしっかりとそれを支えているのは言うまでもなく、イタリアの高い修復技術です。本展の重要な役割の一つが、この修復技術の初めての本格的な紹介であるということも、実はそうしたところに意義があるといえましょう。